2022 Fiscal Year Research-status Report
土壌動物の腸内微生物叢から森林の物質循環を読み解く
Project/Area Number |
21K19142
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷川 東子 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10353765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱口 京子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60343795)
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30324552)
平野 恭弘 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60353827)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 腸内フローラ / 土壌環境 / 菌叢解析 / リター分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌動物の「腸内細菌フローラ」が立地環境に影響を受け、森林生態系における物質循環に関与するかを模索するため、腸内フローラの検出方法を検討している。昨年度に採取した土壌動物について次世代シーケンス解析を行ったところ、次の3点が示唆された: 1) 土壌動物種によって腸内細菌フローラが異なる。具体的には、トゲトビムシ科、ムラサキトビムシ科、カニムシ科で異なる。 ただしムラサキトビムシとカニムシは、試料数の拡充が今後、必要である。 2) 腸内と、体表面も含む体全体では、細菌フローラが異なる。 3) 土壌環境が大きく異なる100年生ヒノキ林2林分において、同種土壌動物の腸内細菌フローラを調べたところ、明瞭な調査地間差はなかったが、この点についても試料数の拡充が今後、必要である。 上述の 2) に加え、試料採取からツルグレン装置を用いた作業を経て土壌動物がエタノール液で保存されるまでに時間がかかる場合、腸の内容物が空に近くなることがあることも観察され、本研究における土壌動物の取り扱いには特段の注意を要することが再認識された。微生物由来のDNA情報の解析方法についても、多様な文献を参考に、別途、検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
土壌動物は体サイズが小さく、その腸内細菌フローラの抽出と解析には困難が伴うことが予想されたが、その解析に一定の成果が得られているため、上記のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは細菌フローラに着目してきたが、土壌動物はリターや別の土壌動物などを摂食する際に、それに付着・混入している糸状菌も取り込むと考えられることから、糸状菌フローラについての解析を開始する。また、細菌フローラ・糸状菌フローラについて、土壌動物の分類群間差、調査地間差の有無を確認し、そのフローラ特性を明らかにするとともに、フローラの形成に影響を与える環境要因を考察する。
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Causes of Carryover |
解析内容を一部変更し、微小な土壌動物からの腸内容物採取法の開発に時間をかけたため、余剰金が生じた。翌年度分として、 16S rDNAアンプリコンシーケンスの回数を増やすことで、試料数の拡充をする予定である。
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Research Products
(3 results)