2021 Fiscal Year Research-status Report
圧縮刺激でセルロースが増える応答を手掛かりに細胞壁の新機能の発見をめざす
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21K19143
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 正人 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30242845)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | セルロース微小繊維 / 刺激応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
短時間の繰り返し圧縮が細胞壁のセルロースを増やす刺激応答の理解をし、細胞壁の新しい機能の発見をめざす。本年は試料幹に曲げを加えることで凹側に圧縮刺激を負荷し、圧縮側にセルロース量が多い細胞壁が形成される条件を詳しく探った。 試料には2年生または3年生のブナの苗木を用いた。 刺激は次を設定した:5秒間の圧縮を1週間に一度の頻度、圧縮刺激を加えない、継続的な圧縮を加える、1週間圧縮を継続し1週間除荷する。生育苗木の姿勢は次を設定した:鉛直、鉛直から30度傾斜、鉛直から60度傾斜、鉛直から90度傾斜=水平。 刺激の条件と姿勢の条件の全ての組み合わせを行い、群数の総数は20、各群で個体数は3として研究をおこなった。 5秒間の圧縮の刺激を週に一回の頻度で加える条件で苗木を生育し、幹の傾斜角度の影響を調べた結果、圧縮応力側にセルロースが多い細胞壁が形成されたのは、幹を水平で生育した個体のみであった。幹が鉛直な場合、30度傾斜した場合、60度傾斜した場合ではいずれも圧縮側にセルロースが多い細胞壁が形成されなかった。この結果から、短時間の繰り返し圧縮の刺激が細胞壁のセルロースを増やす条件は、幹が水平であることが必要と判明した。 幹を水平で生育しても、短時間の繰り返し圧縮を加えないと応答は起きなかった。継続した圧縮刺激を加えるよりも、短時間の繰り返し圧縮を加えた場合のほうが、細胞あたりのセルロース量は多いことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年の目標を達成でき、知りたい情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
圧縮への抵抗性が向上している細胞壁であるか、力学試験によって調べる。まずは、数十の細胞からなる組織を取り出す方法、その微小な試験片を力学試験する方法を確立を目指し、今回調整した試料で実施する。
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Causes of Carryover |
研究に用いる特殊な力学試験機の作成を計画していた。依頼した試作機の作成が感染予防対策で遅れたこと、試作機からの改善が判明したことから、年度内の発注に至らなかった。これが次年度使用額が生じた理由である。 試作2号機での試験を経て、力学試験の仕様を確定し、発注をする予定である。
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