2022 Fiscal Year Annual Research Report
圧縮刺激でセルロースが増える応答を手掛かりに細胞壁の新機能の発見をめざす
Project/Area Number |
21K19143
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 正人 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30242845)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | あて材 / 応力刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
短時間の繰り返し圧縮が細胞壁のセルロースを増やす刺激応答の理解をし、細胞壁の新しい機能の発見をめざす。本年は試料幹に曲げを加えることで凹側に圧縮 刺激を負荷し、圧縮側にセルロース量が多い細胞壁・あて材が形成される条件を詳しく探った。 これまでの成果から、広葉樹ブナは、水平な幹において断続的な応力刺激に応答することが明らかになった。 そこで本研究では、遺伝的距離に着目し、以下の供試木について調べた。被子植物真正双子葉類ブナ目ブナ科ブナ属 ・ハナミズキ(Cornus florida)、被子植物真正双子葉類ミズキ目ミズキ科ミズキ属 ・ヤマザクラ(Prunus jamasakura)、被子植物真正双子葉類バラ目バラ科サクラ属 ・カツラ(Cercidiphyllum japonicum)、被子植物真正双子葉類ユキノシタ目カツラ科カツラ属 ・オニグルミ(Juglans mandshurica var. sachalinensis)、被子植物真正双子葉類ブナ目クルミ科クルミ属 ・ユーカリ(Eucalyptus) 、被子植物真正双子葉類フトモモ目ユーカリ属 あて材形成領域を観察すると、 すべて斜面上側にあて材が形成されていた。この結果は、あて材形成においては重力方 向の変化、すなわち重力刺激が応力刺激より優先される物理的刺激であるという説 (Wilson and Archer、1977)に矛盾しない結果である。一方で、あて材率、G 層厚さ、斜面上側における道管頻度や道管直径を観察すると、 断続的応力刺激の有無に違いによる値の増減を確認した。つまり、応答の仕方にはあての程度を強くするものと弱くするものの両者の傾向がみられた。
|