2023 Fiscal Year Annual Research Report
Microenvironmental Regulation of Stem Cells via Forest and Marine Glyco-nanofibers
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21K19150
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北岡 卓也 九州大学, 農学研究院, 教授 (90304766)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | セルロースナノファイバー / キチン・キトサンナノファイバー / 表面官能基化 / ヒドロゲル基材 / 細胞制御培養 / 微小環境制御 / 医薬モダリティ / 細胞・組織工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
天然多糖ナノマテリアルとして注目を集めるセルロースナノファイバーとキチンナノファイバーの明確な固体界面構造とナノファイバー形状に着目し、表面カルボキシ化・表面硫酸化・表面リン酸化、およびキチンについては段階的脱アセチル化を施すことで、細胞生育の足場としての微小環境制御に挑んだ。最終年度である本年度は、以下の重要な成果を得た。 (1)再生医療における喫緊の課題である動物由来成分不含(ゼノフリー)条件での幹細胞培養を志向し、表面硫酸化セルロースナノファイバーと表面カルボキシ化セルロースナノファイバーを組み合わせる新手法により、ドナー様から供試いただいた初代ヒト腸骨由来間葉系幹細胞のゼノフリー培養に成功した。これは、無血清培地とコラーゲン塗布基材等を用いる既存の方法と異なり、培地も基材も完全ゼノフリーである。 (2)歯の再生治療は、う蝕の充填療法を根本的に変革することから期待が高く、歯髄幹細胞の培養に注目が集まっている。表面リン酸化セルロースナノファイバーを用いることで、成長が遅く培養が困難な歯髄幹細胞の安定培養に成功し、リン酸基量依存性も見出した。さらに、歯髄幹細胞の象牙芽細胞への分化誘導に必須の誘導培地を用いることなく、多糖のみで硬組織への分化誘導も可能であった。これは、う蝕部位に歯髄幹細胞に適した微小環境を構造多糖で構築できることを示唆している。 (3)キチンナノファイバーの表面アミノ基量依存的なヒト単球細胞の免疫賦活化を見出した。近年、ワクチンやがん治療の効果を高めるための免疫アジュバントが注目を集めているが、天然由来の表面改質多糖ナノファイバーでも免疫賦活が可能である。 以上、3年間にわたる挑戦の結果、天然構造多糖ナノファイバーに特有のバイオメディカル機能を数多く見出した。生体内環境を模倣できる多糖ナノファイバーは、再生医療や免疫療法における新規医薬モダリティとして有望である。
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Research Products
(26 results)