2021 Fiscal Year Research-status Report
Research for the development of demand creation and the renovation of production base of decline-stage industrial crops
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21K19162
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
櫻井 清一 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (60334174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神代 英昭 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (60431699)
石塚 哉史 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (70571016)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 工芸農作物 / 製品ライフサイクル論 / 衰退期 / 需要拡大 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,対象3品目の生産状況に関する基礎的情報の整理と,生産に関連する技術開発動向の考察を行った。 対象とする工芸農作物の最盛期と最新の生産指標を比較すると,養蚕(飼養戸数)は0.01%に縮小した一方,コンニャクイモ(収穫量)は43%,茶(荒茶生産量)は68%の水準で推移しており,成熟期から衰退期に向かう作物でも品目により国産品市場規模の縮小の程度には大きな差が見られる。また,全体としての市場規模が縮小に向かう中でも,一定数の新規参入農家がみられる。 生産規模の縮小とともに,どの品目も主産地(県単位)への生産集中が進んでいる。コンニャクイモは群馬県で全体の90%以上,茶は静岡県と鹿児島県で全体の70%,養蚕は群馬・福島・栃木の3県で71%(いずれも生産量ベース)を占めている。結果としての産地の集中により,技術交流の可能性は高まるものの,主産地の予期せぬ減産による市場全体の縮小リスクが高まっている。 対象となる工芸農作物は,貿易を巡ってそれぞれ特殊な環境下にある。生糸(養蚕)は輸入品が主流となり,国産比率は極めて低い。コンニャクは生イモについては防疫上輸入できなくなっているが,加工イモ製品については高関税による強い保護,製品コンニャクは一定量の輸入があり,段階別に異なる貿易環境にある。緑茶は海外の日本食並びに抹茶ブームの影響を受け,輸出がある程度伸張している。 工芸農作物栽培を支援する技術開発については,現在も公的試験研究機関が残り,一定の水準を維持している。ただし都道府県立機関が多いため,他地域への技術普及に課題を残す。 新機能に着目した萌芽的研究成果は多く,実用化と低コスト化が課題となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響を受け,対面式の産地調査を実施することができなかった。そのため,需要衰退基調下でもユニークな取り組みにより生産・需要の拡大を図ろうとする意欲的な経営体の動向を把握できず,公表された統計資料による分析にとどまった。 また,研究分担者に対し研究経費を配分する際に,事務プロセス上の不具合があり,結果的に研究分担者への経費配分が大幅に遅れ,分担者の研究遂行が思うようにできなかった。 そのため,研究進捗状況は予定通りには進まず,やや遅れていると評価せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,昨年度実施できなかった対面式調査および代表者と分担者との合同協議を再開し,以下の課題に取り組む。 1)対象品目の主産地における生産復興の取り組みについて,生産の担い手の掘り起こしと,技術の普及プロセスに特に留意しながら定性的に考察する。 2)対象品目のプロモーション戦略について,新たな取り組みの発掘と,その妥当性の検証を中心に分析を進める。 3)対象品目に関する生産および加工技術の新動向をトレースするとともに,その技術開発のプロセスについて,技術経営論(MOT)の分析枠組に依拠して考察する。 なお,前年度の予算配分の遅れを考慮し,研究期間を1年延長することを計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス流行の影響を受け,対面式の調査ができなかったため,旅費の支出がなかった。また,研究分担者に予算を配分する際に,事務手続き上の不都合が発生し,結果的に分担者への送金が大幅に遅れ(12月以降),分担者が当初予定していた支出をすることができなかった。 本年度は対面式調査も再開できる見通しであり,昨年度分の分担者への送金も遅れながら完了しているため,一定のペースで研究予算を使えると見込んでいる。
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Research Products
(2 results)