2021 Fiscal Year Research-status Report
斜面安定性評価のための遠心場における土中水・空気流れの解明
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21K19164
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
斎藤 広隆 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70447514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向後 雄二 茨城大学, 農学部, 特任教授 (30414452)
堀 俊和 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, グループ長 (20414451)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 斜面崩壊 / 空気流れ / 遠心降雨実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,遠心場での模型実験によって,降雨下での土中の水,空気および斜面変形を明らかにし,斜面安定に与える影響を評価することを目的とする.これまでのところ,農研機構農村工学研究部門にて模型斜面を用いて,遠心降雨実験行った.遠心高実験では,典型的な自然斜面に見られる固い基盤の上に風化の進んだ緩い表層土から構成される小型模型斜面を,シルト(DLクレイ)および砂(霞ケ浦砂)を用いて片側を透明なガラスとなっている遠心機用の土槽内に構築した.模型斜面は,高さ30cmで1:1の勾配を持ち,降雨下での土中水圧力と土中空気初の変化をモニタリングするために,計13個の間隙水圧計と4個の間隙空気圧計を挿入した.遠心降雨実験では土槽に固定した4つのノズルより構成された降雨装置から時間50mm相当の降雨を与え,30Gの遠心力を作用させた.斜面の変形をモニタリングするために透明な面に向けてCCDカメラを設置した.
実験開始後一定時間経過後には,表層付近から間隙水圧が上昇し,斜面法先がふくらむなど斜面での変形が観察され,地下水面が形成されたものの,1G場において2時間に相当する降雨を連続的に与えても,大規模な斜面の滑りや崩壊は観察されなかった.崩壊が起こらなかった主な要因としては,斜面表層を構成する霞ケ浦砂の透水係数が大きく浸透能が高く,斜面からの降雨の多くが浸透後に排水されたことが考えられた.今後の実験では,表層土に用いる材料については,透水係数が霞ケ浦砂よりは小さなものを選ぶ必要があることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画にあるように,1年目のうちに遠心降雨実験を実施でき,2年目以降の遠心降雨実験に関連する知見を得ることができた.また,模型斜面の構築や降雨装置のキャリブレーションについて,経験を積むことができ,2年目以降の実験をスムースに実施することが可能となったから.また,空気移動を考慮したモデルの構築についても,検討を開始することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降では,まず条件を変えながら遠心降雨実験を数回実施する.特に斜面表層土の材料について,粒径が大きく透水係数の大きい霞ヶ浦砂に変えて,細かな粒径も含まれ透水係数の小さい豊浦砂か珪砂を用いることを検討し,密度についても相対密度をいくつか変えながらその影響を調べることを計画している.また,降雨強度についても時間50mmに加えて100mmについて可能かどうか,降雨装置のキャリブレーションを進める予定である.
また,今年度空気の移動も考慮したモデルの構築をさらに進め,遠心場での斜面崩壊過程の解析に取り組む予定である.
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Causes of Carryover |
農研機構の遠心機については,使用予定の他機関との調整が必要となるため,令和3年度は遠心降雨実験を1ケースのみ実施したため,一部経費を令和4年度に執行するとした.令和4年度については,年度当初より複数ケースの実験を実施するための計画を立てており,その中で執行してく予定である.
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