2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of mechanism in the suppression of freezing point depression by oil nano-film and application to hardly melting frozen desserts
Project/Area Number |
21K19165
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
松川 真吾 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (30293096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 徹 東京海洋大学, 学内共同利用施設等, 特任教授 (50206504)
小林 りか 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (50780326)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | ナノ油滴 / ナノエマルジョン / ナノ油膜 / 融点降下 / 氷菓 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ナノ油滴を含有する濃厚糖溶液の調製方法とそれを凍結させて得られるナノ油膜被覆氷結晶の作成方法及びその観察方法を検討した。油成分としてスクワレンを1w/w%、濃厚スクロース溶液に添加し、高圧ホモジナイザーにてナノ油滴を調製した。調製した試料は数10分間、均一に分散した状態を保ったが、60分後には油滴の濃度が試料の上下では異なってくる傾向が見られた。 ナノ油滴含有濃厚糖溶液を―20℃で凍結させた試料について融解実験を行った。目視による観察では凍結試料が溶けて流れ落ちる様子を確認できたが、融解による流動性の変化を定量的に評価することが出来ず、融解挙動の比較検討を行うことが出来なかった。 凍結試料の融解挙動の定量的評価のためにマイクロDSC測定を行ったところ、ナノ油滴含有濃厚糖溶液の凍結試料はナノ油滴を含まない試料に比べて1℃程度融点が上がった。また、吸熱ピークの広がりが狭くなり、より純水な水の融解挙動に近づいた。また、乳化剤を用いて作成したナノエマルジョン含有濃厚糖溶液の凍結試料では、濃厚糖溶液の凍結試料より融点がさらに低くなった。乳化剤が融点降下を助長していると考えられる。 油成分に蛍光色素を溶解した試料を用いて顕微鏡観察を行ったところ、氷結晶がナノ油膜によって被覆されている状態が観察された。この時、氷結晶の成長は抑制された。連続相からの水分供給が油膜によって遮断されているからと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は以下の検討を行った。 ナノ油滴は30~50w/w%のスクロース溶液にスクワレンを1w/w%添加して高圧ホモジナイザーで分散することで調製することが出来た。蛍光顕微鏡観察用の試料には蛍光色素を溶解したスクワレンを用いた。調製したしたナノ油滴はオパール状の薄い白濁を見せ、静置後、60分程度で試料上下に白濁度合いの差が表れた。 得られたスクワレンナノ油滴含有スクロース溶液を凍結し、-20℃から0.5℃/分で昇温しながらマイクロDSC測定を行ったところ、ナノ油滴を含まないスクロース溶液に比べて、約1℃、融点が高くなり、また、ピーク幅が狭くなった。一方、界面活性剤を用いたナノエマルジョンを含有させたスクロース溶液では、スクロース溶液よりも融点が低くなった。界面活性剤が融点降下を助長していると考えられる。 顕微鏡観察では、―30℃に冷却したコールドステージに滴下して急速凍結し、位相差顕微鏡で観察した。氷結晶は徐々に成長したが、1~2時間後にはほとんど変化しなくなった。その時の試料を蛍光顕微鏡で観察したところ、氷結晶の界面に明るい輪郭が見られ、ナノ油膜の形成が確認できた。ナノ油膜が氷結晶の成長に必要な水分子の連続相からの移行を阻害しているからと思われる。 しかし、凍結試料の融解挙動の定量的評価は十分に行うことが出来なかった。理由は凍結試料の融解に伴う流動性変化の定量的評価が困難であったためであり、今後、流動性の定量的評価手法の確立が必要である。 以上の進捗状況から、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は本研究課題の最終年度であるため、前年度までに行ってきたナノ油膜被覆氷結晶を含有するスクロース溶液について、より安定で氷点の高い試料調製条件を検討する。そのために、油成分の種類と量を検討する。具体的には、スクワレン、スクワラン、キャノラー油などを用いて、濃度を1%から0.1%まで変動させる。また、氷結晶生成を―20℃と―60℃の間を往復させながら行い、より強固なナノ油膜の形成を検討する。 また、今年度十分に行うことが出来なかった融解挙動の評価を行うために、流動性の変化の定量的評価手法の確立を行い、凍結試料について適用する。 さらに、氷菓への応用利用の可能性を検討するために、調製したナノ油膜被覆氷結晶を含有する糖溶液を粉砕して濃縮アイスクリームミックスなどと低温で混合し、実際の氷菓の調製を行い、溶けて流れる温度などを評価する。 また、これらの結果をまとめて、学会 等において発表し、さらに投稿論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた蛍光顕微鏡の長焦点距離蛍光対物レンズの入荷の見通しが立たたなかったため、本年度の購入を見送った。現在、別メーカーのレンズを検討しており、研究計画の遂行に支障はない。
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Research Products
(1 results)