2021 Fiscal Year Research-status Report
クリプトスポリジウムによる子牛下痢症の根絶を目指した次世代弱毒誘導ワクチンの創出
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21K19192
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松林 誠 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00321076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 智英 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (50383667)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | クリプトスポリジウム / ワクチン / 寄生適応 / 弱毒 |
Outline of Annual Research Achievements |
クリプトスポリジウム原虫は、子牛において難治性、致死性の下痢症を引き起こす。生産現場では、未だ有効な防除法が見出せていない。感染に耐過した子牛は再感染に抵抗を示すことから、防除はワクチンによる免疫付与が有効である。本研究課題では、クリプトスポリジウム原虫の他種動物への寄生適応現象に焦点をあて、他種動物による継代を行い、本来の宿主に対して寄生性が低下した原虫株を非遺伝子改変により作出し、安全な弱毒誘導型生ワクチンの創出に挑戦する。本年度は、比較ゲノム解析の実施のため、子牛下痢便から原虫を超精製できる条件を検討し、最適な方法を確立した。野外株の取得のため、国内の複数の農場に立ち入り調査を実施し、約10農場の子牛でクリプトスポリジウムの感染を確認した。解析のために原虫を大量に回収できた4株についてPCRおよびシークエンス解析により種、遺伝子亜型を決定した。このうち2株を全ゲノム解析に供した。また、うち1株は、免疫不全マウスへの継代を開始した。また、リファレンス株として、マウスにおいて長期間継代を行っている国内のウシ型の人由来株についてもゲノム解析を実施した。今後は、これらの株を比較すると共に開示されている全ゲノムとも比較も行う。同一株においても多型の混在が示唆されたため、少数投与によるマウスでの感染性を調査し、これらの株のクローニングも試みており、全ゲノム解析による純化の程度を評価する。また、in vitro での培養についても条件検討が終了し、準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の国内野外株を確保し、また国内のリファレンス株についてもゲノム解析に供することができ、多型等を解析できる結果を得つつある。また、マウスへ感染も成功し、現在、継続して継代を実施中である。in vitro での培養についても長期培養が可能になりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も継続してゲノム解析を実施し、得られたリードについて比較解析等を実施していく。
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Causes of Carryover |
2021年度に解析予定であった内容を2022年度に実施するため。
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