2021 Fiscal Year Research-status Report
アクチン細胞骨格を直接操作できるオプトジェネティクスツールの開発
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21K19220
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 牧人 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (40609236)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞分裂 / アクトミオシン / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物細胞には主にアクチン線維とミオシン分子モーターから構成されるアクチン細胞骨格が普遍的に存在し、細胞運動・分裂・極性形成など、生命活動に本質的な機能を生み出している。アクチン細胞骨格が細胞機能を制御している仕組みを解明するためには、アクトミオシンやアクセサリータンパク質の時空間活性を、それぞれ独立に操作する技術が必要である。そこで本研究では、近年急速に開発が進んでいる光遺伝学の要素技術を用いて、アクチン細胞骨格ダイナミクスを光で自在に操作できるツールの開発を目的とする。 初年度はアクチン重合活性を操作できるオプトジェネティクスツールの開発を行った。まずは設計したオプジェネティクスツールのタンパク配列をコードしたプラスミドを動物細胞に導入し、光照射によってアクチン重合を生じさせることに成功した。続いて、光遺伝学ツールのアクチン重合活性化部位を大腸菌で発現・精製し、ピレン染色したアクチンモノマーと混合し、アクチン重合反応を蛍光マイクロプレートリーダーで計測する実験系を立ち上げた。複数種類の配列デザインを用意し、アクチン重合活性化部位の濃度と、アクチン重合速度の関係を生化学実験で定量化しつつ、動物細胞を用いた顕微鏡実験で機能を評価することで、ツールの最適化を行える環境を整えた。一連の実験を通じて、光照射で効率的にアクチン重合活性を制御できる条件は、オプトジェネティクスツールの細胞内発現量に大きく依存すること、そしてデザインによって最適な濃度が異なることが分かりつつある。そこで、細胞内発現量を定量的に計測できる実験系の構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、アクチン重合活性化因子の細胞膜局在を光で制御し、アクチン重合の光操作に成功したため。同様の手法で、アクチンと膜の接着強度やミオシンの活性化レベルを操作できるツールも順調に開発が進むと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは初年度で開発したアクチン重合の光操作ツールの最適化を進める。静止中の細胞を光照射で動かしたり、運動中の細胞の進行方向を光照射で変えられるかを試し、光操作ツールの有効性を実証する。また、並行して初年度で開発したアクチン重合の光操作ツールの一部を、ミオシンのリン酸化酵素に組み替えることで、ミオシンの収縮力活性を光で操作できるツールの開発を行う。同様に、アクチン細胞骨格と細胞膜との接着強度を光で操作できるツールの開発も行う。これらの開発を完遂することで、動物細胞のアクチン細胞骨格動態を光で自由自在に操作できる基盤技術の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスCovid-19の感染拡大およびウクライナ・ロシア情勢により、消耗品の納品が遅れたため。
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