2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a method for super-resolved chromophore-assisted laser inactivation
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21K19225
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 健治 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20311350)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 光照射分子不活性化技術 / 超解像イメージング / 蛍光タンパク質 / 試験管内分子進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、光の回折限界を超えた高い空間分解能を有する超解像光照射分子不活性化技術(SR-CALI)を開発することが目的である。その具体的な目標は、微小領域で励起光照射によって活性酸素種を発生させることのできるタンパク質の開発、SR-CALIのための超解像顕微鏡装置の開発、そしてSR-CALI技術のコンセプトの実証として細胞内小器官内のタンパク質機能解析へのSR-CALIの応用を行うことである。 本年度は、光スイッチングCALIタンパク質の開発において、励起光照射によって活性酸素種を発生するCALIタンパク質変異体ライブラリ作成と、その変異体ライブラリから有用なCALIタンパク質変異体を探し出すスクリーニングのメソッド開発を行った。CALIタンパク質変異体ライブラリ作成のため、従来の活性酸素種発生の光スイッチング能のなかったCALIタンパク質のいくつかの部位にランダム変異を導入した。これにより、ある波長の光照射で活性酸素種発生しない状態(CALI-OFF状態)に遷移し、別の波長の光照射でCALI-OFF状態から活性酸素種発生可能な状態(CALI-ON状態)に遷移する、光スイッチング型のCALIタンパク質変異体をいくつか得ることができた。さらに、光スイッチングCALIタンパク質変異体の中でも有用な変異体を選択するために、CALIタンパク質を活性酸素種発生や光スイッチングにもとづいてハイスループットにスクリーニングを行うためのメソッドを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、励起光照射によって活性酸素種を発生するCALIタンパク質変異体ライブラリ作成と、その変異体ライブラリから有用なCALIタンパク質変異体を探し出すスクリーニングのメソッド開発を行った。励起光照射によって活性酸素種を発生するCALIタンパク質変異体ライブラリ作成においては、従来のCALIタンパク質において、その3次元構造を参照して光スイッチング能を付与できる可能性がある変異導入部位を予測した。予測したいくつかの変異導入部位候補においてランダム変異を導入することで、CALIタンパク質変異体DNAライブラリを構築した。CALIタンパク質変異体ライブラリから、活性酸素種発生によるCALI活性が、光スイッチングのCALI-ON状態においてできるだけ高く、CALI-OFF状態のときにできるだけ低い(ON・OFFコントラストの高い)変異体を選択するため、従来のCALIタンパク質であるKillerRedの開発に用いられたスクリーニング手法を改変した。CALIタンパク質変異体ライブラリからの遺伝子を発現する大腸菌に対して、スイッチング光及び励起光を照射してコロニーの発生を測定するスクリーニングメソッドを確立した。以上のCALIタンパク質変異体DNAライブラリと、CALIタンパク質のスクリーニングメソッドを用いることにより、CALIの光スイッチングを示すCALIタンパク質変異体をいくつか作成することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度実施したCALIタンパク質変異体ライブラリ作成とスクリーニングを引き続き行い、CALI-ON/OFFコントラストの高い光スイッチングCALIタンパク質の開発を行う。このために、CALIタンパク質へのランダム変異の導入による変異体ライブラリの作製、そしてCALI活性と光スイッチングについてのスクリーニングのサイクルを繰り返すことで、次年度中にSR-CALIに有用なSR-CALIタンパク質を得る予定である。 SR-CALIタンパク質の開発と並行して、SR-CALI蛍光顕微鏡の開発を行う。SR-CALI蛍光顕微鏡は、広視野蛍光顕微鏡に、光スイッチングCALIタンパク質のための光スイッチング光源と励起光源、そしてこれらの照射光の照射位置を可変にするための光学系を導入する。光スイッチング光は、ビームプロファイルをガウシアンビームからドーナツ形状に変換するために、レーザー光源と空間光変調器を用いる。また、CALIのための照射光の照射位置を可変にするために、ガルバノスキャナの導入を予定している。以上のSR-CALI顕微鏡は次年度中の完成を見込んでいる。
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Causes of Carryover |
研究計画当初は、今年度は光スイッチングCALIタンパク質の開発とSR-CALI蛍光顕微鏡の製作を同時並行行う予定であったが研究計画を変更し、今年度は光スイッチングCALIタンパク質の開発に専念した。このため、SR-CALI顕微鏡のための光学機器の費用を使用しなかったため次年度使用額が発生した。また、参加予定であった学会がオンライン開催となったため、旅費が発生しなかったため、次年度使用額が発生した。次年度使用額は、SR-CALI蛍光顕微鏡の製作に伴って必要となる光学機器の購入で使用する予定である。
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Research Products
(29 results)