2022 Fiscal Year Research-status Report
DNA屈曲因子の新たな分子動態解明から切り開く新たな細胞周期像の創出
Project/Area Number |
21K19233
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片山 勉 九州大学, 薬学研究院, 教授 (70264059)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
Keywords | DNA複製 / DnaA / DNA屈曲 / 複合体動態 / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸菌IHFタンパク質は配列特異的にDNAに結合し鋭く屈曲させる。IHFによるDNA屈曲は、染色体の複製起点oriCにおける複製開始複合体の形成、核様体の構造形成、さらに多様な遺伝子の転写や部位特異的組換え反応の制御などに重要であり、IHFはグローバルな制御因子としての役割を持つ。しかしながら、これまでIHFは細胞周期の制御因子としては重要視されていなかった。代表者は、複製開始タンパク質DnaAの活性化因子DARS2を独自に発見していたが、さらにこの因子がIHFの結合/解離によって機能制御されることを最近見出した。DARS2はIHFとFisの両方の同時結合によって活性化される。Fis はIHFと同様にグローバルな制御因子として知られるDNA結合因子である。本計画は、この独自発見を基盤にし、IHFの細胞周期制御における役割を新たに理解にすることを目的とする。昨年度(2021年度)の成果として、DARS2-Fisの適時的な結合/解離の制御メカニズムの解明がある(論文発表済み)。そしてこのメカニズムはDARS2-IHFの適時的な結合/解離の制御メカニズムとは独立にはたらくことがわかった。よって計画にしたがい昨年度に引き続き2022年度でもIHF結合/解離の制御因子の探索を進めた。特にDARS2-IHF複合体の解離を定量的に解析できる生化学的実験系を新たに構築して、大腸菌粗抽出液から目的の活性因子の精製を進めた。並行して細胞内のDARS2を不活性化させる因子を遺伝学的に探索するための実験系を新たに開発した。そしてこの系を用いても探索を進めている。さらに細胞周期制御に重要となる、DARS2以外の遺伝子領域におけるIHF結合やその制御機構についても解析している。これらについては学会等で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IHFが特定のDNA部位と複合体を適時的に形成するための制御因子の探索やメカニズム解析が着実に進行している。これらの結果を基に今後も着実に進展してゆくことが期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿っておおむね順調に進行していると思われるため、今後もひきつづき計画どおりに推進してゆく。
|
Research Products
(10 results)