2021 Fiscal Year Research-status Report
サカナ(胎生発生真骨魚類)にゲノムインプリンティングは存在するか?
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21K19237
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
木下 哲 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (60342630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 敦夫 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (90437278)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | インプリント遺伝子 / コンフリクト仮説 / 胎生魚類 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎生発生する生物を対象とした興味深い学説として、『コンフリクト仮説』がある。母体内での胎仔の成長に関して、オス親の利益が自分の子供を大きくすることであるのに対し、メス親の利益は、栄養資源を節約し自分の子供を小さくすることであると説明される。本仮説では、この利害の対立から、オス親とメス親から受け継いだ対立遺伝子が、その子供で異なる発現を示すことが想定されている。これらの遺伝子は『インプリント遺伝子』と定義され、オス・メスの利害のせめぎ合いは『コンフリクト仮説』として説明される。この仮説は、胎盤を持つ哺乳動物と胚乳を持つ被子植物で検証されているが、それ以外の胎生生物での検証は進んでいない。令和3年度は、胎生魚類にインプリント遺伝子が存在することで仮説の検証に取り組むため、ハイランドカープからRNA-seq解析を進めること、SNPsが存在するであろう2系統の交配準備を進めた。予備的には、胎仔への栄養供給を担っていると考えられる栄養リボンで発現する遺伝子セットを同定している。この中にインプリント遺伝子が複数含まれると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共同研究者の異動に伴い、魚類飼育環境が若干変化した。令和3年度はハイランドカープの交配実験を進める予定であったが、飼育環境変化により魚類の生育、交配に影響が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
準備が遅れているハイランドカープ2系統間での交配を進め、RNA-seq解析を進める。SNPsを用いたインプリント遺伝子の同定は、すでに植物材料でバイオインフォマティクス解析を進めているため問題ない。得られるインプリント遺伝子に関しては、さらなるインフォマ解析により、進化的な位置づけ、インプリント遺伝子として機能するようになった原因に関して深掘りする。
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Causes of Carryover |
令和3年度に2系統のハイランドカープの交配を進め、次世代シーケンサーでRNA-seqを行いインプリント遺伝子を同定する予定であったが、飼育環境変化が原因で2系統の飼育が上手く行かなかったため。令和4年度にこの計画を達成する。
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