2021 Fiscal Year Research-status Report
長鎖シークエンシング技術を利用した環状RNAの全長一発同定手法の開発
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21K19238
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Research Institution | Hakodate Junior College |
Principal Investigator |
梅影 創 函館短期大学, 食物栄養学科, 講師(移行) (30419436)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 環状RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、申請者の所属機関の異動があったため、当初の計画には入っていなかった研究環境の立ち上げを行うこととなった。実験環境の整備期間中は、実験面での研究は実施できないため、主にロングリードシークエンシングデータから環状RNAを検出するためのプログラムの改善を中心に行なった。昨年度までに、模擬データを使用した環状RNAの同定について成功していたため、本年度は、実データを用いて環状RNAの検出が可能であるかを検証した。PythonライブラリのSequenceMatcherプログラムを用いた環状RNA検出を実施し、実データからの環状RNAの検出が可能であることが確かめたが、パラメーター設定によっては計算時間が長大になる欠点が生じることがわかった。このことについて、環状RNA同定を大雑把に絞り込み、そこから丹念に同定するなどといった改善を行う必要があることが分かった。また、先のプログラムを既報の長鎖シークエンシングデータの解析に適用したところ、環状RNAの検出が可能であることが確かめられた。一方、環状RNAの検出を目的とした既報の長鎖シークエンシングデータは、シークエンシング鎖長が1kb未満のデータが大半を占めていることが分かり、1kb未満の環状RNAの検出は可能であるものの、1kb以上の鎖長の環状RNAについては検出するのは難しいことが分かった。このことから、既報の環状RNAのcDNA調製方法は環状RNAの検出のためには十分ではなく、環状RNA由来の長鎖のcDNA(環状RNA由来の長鎖コンカテマー)を調製する手法を新たに検討する必要があることがわかった。現在は、ヒト乳腺がん細胞(MCF-7)由来のトータルRNAをもとに、短鎖シークエンシング情報(コントロール用)の取得、並びに、長鎖シークエンシングのためのcDNAライブラリ作成方法の検討を進めている。短鎖シークエンシングについては、一部シークエンシングが終了しており、プログラム解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
所属機関の異動のため、研究環境の整備に時間を要した。そのため、1年目の予定であった、ライブラリの調製方法の検討が十分に実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
解析面については、解析プログラムの修正を中心にすすめ、スパコン使用などによる解析スピードの向上を図る。実験面では、従来の環状RNAのcDNA調製法では十分な鎖長のcDNAが得られないため、長鎖cDNAを効率よく調整する手法を検討する。また、トータルRNAから環状 RNAを生成する手法が、最終的な環状RNA検出感度に大きく関わってくるため、長鎖cDNA調製と併せて検討する。
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Causes of Carryover |
研究初年度は、研究計画に予定していなかった研究環境の整備を行う必要があった。このため、予定していた研究費の使用が十分に実施されなかったため、次年度使用額が生じた。
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