2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a tension sensor probe to Visualize the tensile force subjected to Cells
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21K19248
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 一正 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (10312539)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | テンションセンサー / 力覚応答 / 蛍光蛋白質 / メカノバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的であるテンションセンサープローブの開発のため、培養細胞へ張力を負荷する実験方法の確立を行った。これまで化学誘導2量体化法を用い、ラパマイシンの添加で収縮するイヌ腎上皮MDCK細胞(収縮細胞)を作製している。この細胞と正常なMDCK細胞を混合して培養し、ラパマイシンの添加で収縮細胞の近傍の細胞が引張される実験方法を確立した。次に、テンションセンサーとして機能する蛍光蛋白質を作製するため、張力の負荷で蛍光を失う変異体のスクリーニング法の構築を開始した。テンションセンサープローブは、E-Cadherin分子内にセンサーとなる蛍光蛋白質Venusの変異体を挿入して作製する。Cadherin分子からの張力が作用すると予想されるVenusのN末端、又は、C末端のβシート内の連続した6残基をランダムな配列に置き換える変異を導入し、張力によって蛍光を失う変異体を作製する。まず、蛍光を保持しているが不安定なVenus変異体を得るため、変異を導入したVenusを大腸菌内で発現させ、蛍光を保持しているコロニーを単離し、菌体ごと熱を加えて蛍光を失う温度感受性変異体を探索した。約10万個のライブラリーをスクリーニングし、蛍光を持つものが約1000個得られ、これらのについて蛍光を失う温度を測定した。正常なVenusは約80度で蛍光を失うが、これら変異体から65度~75度で蛍光を減衰するものを5種類得ることができた。これらをE-cadherinの細胞内ドメインに挿入した細胞間のテンションセンサープローブの候補を作製し、MDCK細胞に発現させ検討した。しかし、得られた温度感受性変異体は蛍光が弱く、プローブとしては機能しなかった。以上のとおり、本年度は、温度感受性変異体が作製できることを確認し、動物細胞でテンションセンサーとしての機能を解析する一連の方法を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テンションセンサーとして機能する蛍光蛋白質Venusの変異体ライブラリーの作製を行った。N末端、又は、C末端のβシート内の連続する6残基をランダムな配列に置き換えたVenusをGST融合蛋白質として発現する大腸菌のライブラリーを作製した。ほとんどのクローンに変異が導入されており、蛍光発色するものが1%程度あることを確認した。そして、今後、充分な規模のライブラリーを展開できることを確認した。次に、蛍光を保持した変異体Venusを発現する大腸菌に対して、蛍光観察を行いながら温度を上げていく方法を作製し、GST-Venusを発現する大腸菌では約80度で蛍光を失うことを確認した。Venusの温度感受性変異体のスクリーニング方法が確立できたため、N末端の変異体約5万個、C末端の変異体約5万個の計10万個をスクリーニングした。蛍光を保持していた約1000個についてスクリーニングを行い、温度感受性変異体5種類を得ることに成功した。続いて、E-Cadherin分子をベースにVenus変異体を細胞内ドメンの途中に挿入し、C末端に赤色蛍光蛋白質を付加した細胞間のテンションセンサープローブの基本骨格を作製した。これをMDCK細胞に発現させ、細胞間接着部に両蛍光蛋白質の蛍光を生細胞において観察する方法を確立した。これを用い、得られた温度感受性変異体に検討したが、テンションセンサープローブとして機能するものは得られなかった。これとは別に、細胞基底部に集積するSolo蛋白質が力負荷分布のマーカーとなる可能性を検討するため、YFP-Soloを恒常的に発現するMDCK細胞を作製した。以上のとおり、テンションセンサープローブを開発するためのライブラリーとツールを作製し、一連の実験方法が確立できたことから、計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.Solo蛋白質の細胞内局在による張力負荷分布の可視化:DNAを用いた細胞-基質間接着に負荷される張力を可視化しするフォースセンサを共同研究により導入する。このプローブを用い、YFP-Solo発現細胞のタイムラプス観察によりSoloの局在変化と細胞基底部の張力の分布変化を観察し相関を解析する。これをもとに、Soloの局在から細胞内の張力負荷分布を予想することが可能であるか検討する。 2.張力負荷により蛍光が消失するテンションセンサープローブの開発:蛍光蛋白質Venusの変異体ライブラリーから温度感受性変異体の探索を続ける。輝度が高く、50度から70度の間の異なる温度で蛍光を失い、また、可逆的であるものを探索する。スクリーニングは継続し、できるだけ多くの変異体を見出す。得られた変異体をカドヘリンをベースとしたテンションセンサープローブの挿入部位へ組み込み、MDCK細胞に発現させる。細胞のタイムラプス観察により、定常時の細胞間に負荷される張力を感知するものと、収縮細胞によってより強い細胞間接着部位への張力負荷を感知するものを作製する。センサーとして機能するVenus変異体が得られない場合、サンゴ由来の蛍光蛋白質やVenusの円順列変異体を検討する。
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Research Products
(4 results)