2021 Fiscal Year Research-status Report
新規因子探索による分泌シグナル伝達ルミクリンの包括的解析
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21K19263
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
淨住 大慈 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (70452430)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | ルミクリン / 分泌因子 / 精巣上体 / 管腔 / NELL2 |
Outline of Annual Research Achievements |
多細胞生物では、個体の中で細胞や組織の成長や分化を調節する様々な分泌シグナル伝達機構が重要な役割を担っている.最近研究代表者は管腔を通じて作用する全く新しい分泌シグナル伝達「ルミクリン」がマウス雄の生殖器官で機能していることを証明し、その分子実体としてNELL2を世界で初めて同定した.NELL2以外にもルミクリン因子が存在し、生殖器官や他の腺様器官において機能しているのか非常に興味が持たれるが、このルミクリンの概念が新規なものであるがゆえ性腺以外では全く調べられていない.そこで本研究では、新たなルミクリン因子を探索することによってルミクリンのより包括的な解析を試みた.
令和3年度は、ルミクリンの候補因子の一つであるTs-1の機能解析を実施した。Ts-1のノックアウトマウスはNell2ノックアウトマウスによく類似した生殖器官の表現型を呈し、またNELL2とTs-1は相互作用した。Ts-1の分子機能をさらに解析するため、Ts-1組換えタンパク質の発現・精製系を構築した。浮遊条件で培養可能なヒト胎児腎臓由来細胞293-Fにヒスチジンタグを付加したTs-1タンパク質を発現させ、培養6日目の培養上清からTs-1組換えタンパク質の精製を試みた。その結果1リットルの培養上清から高純度の組換えTs-1タンパク質を数百マイクログラム精製することに成功した。この精製Ts-1タンパク質とすでに精製NELL2タンパク質を表面プラズモン共鳴による相互作用解析に供した結果、NELL2-Ts-1相互作用の解離定数を決定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ルミクリンの候補因子Ts-1について分子機能のキャラクタライズに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まずTs-1についてはノックアウトマウスと精製タンパク質を用いて生理機能・分子機能の解析をさらに進める。 また、Ts-1以外のルミクリン因子・ルミクリンシグナル伝達をキャラクタライズするため、ルミクリン因子の受容体と考えられるオーファンGタンパク質共役受容体Adgrg2のノックアウトマウスを作製し、ルミクリンの観点から表現型を解析する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスに関連した半導体不足の影響で、予定していたタンパク質の分析に必要な機器を調達できなかった。このため分析に供する試料調製に必要な試薬の購入を差し控えた。このため次年度使用額が生じた。 当該機器の調達が令和4年度の5月に完了するため、上述の次年度使用額を予定の試薬購入に充て執行する。
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Research Products
(2 results)