2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K19264
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柿本 辰男 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (70214260)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | シロイヌナズナ / 木部 / 篩部 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物細胞は、お互いの位置関係に応じて分化し、組織内で適切な細胞パターンを形成する。細胞の位置関係の認識には細胞間のシグナル分子が 重要な役割を果たすが、細胞パターン形成を理解できるほどには解っていない。維管束は複数の種類の細胞からなるが、構成細胞が位置に応じて分化するためには植物ホルモンやペプチドホルモンが重要であることがわかりつつある。これらの 組織の細胞パターンを作り上げるためのペプチドホルモンの同定と、その受容機構を解明することが目的である。本研究においては、お互いの位置関係を認識するためのシグナル分子候補として、細胞外ペプチド性シグナル分子に着目する。篩部前駆細胞で発現し篩部の形成を指令するDofタイプの転写因子の下流で発現しているCLE25, 26, 45の3重変異体では篩部領域が広がること、また、CLE25, 26, 45の受容体であるBAM受容体キナーゼの多重変異体、CIK共受容体の多重変異体の変異体でも同様の表現型があることを見出した。CLE25, 26, 45に加え、木部などで発現するCLEも破壊したところ、さらに篩部領域も広がることを見出し、木部・篩部間での細胞アイデンティティー決定における相互調節があることがわかってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始当初、根毛細胞列のアイデンティティー決定において皮層よりも内側の細胞からのペプチド性シグナル分子が働いているという予備結果に基づいて研究を進めたが、これについて十分な再現性は確認できなかった。そこで、他の細胞のアイデンティティーに関しても細胞の位置関係に着目した研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
根毛細胞列のアイデンティティー決定におけるペプチド性シグナル分子の役割の可能性について引き続き調べるが、実験結果の誤差が大きく再現性が困難であるため、木部と篩部の関係を含め、他の細胞タイプにも注目して研究を進める。
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Causes of Carryover |
研究開始当初に得ていた予備的実験結果に基づいて研究計画を立てていたが、その結果に再現性が得られず、研究計画を修正したことで、新たな組換え植物の作成や解析が必要となった。
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Research Products
(11 results)