2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study of recognition mechanism between mother and embryo using the xeno-hybrid placenta
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21K19267
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
磯谷 綾子 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (20444523)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 母子間認識 / 胎盤 / 異種間 / ハイブリッド / 胚体外細胞 / 脱落膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の妊娠期の母体は胎児に対して、免疫学的に非常に寛容であるが、異種の胎児に対しては、ほぼ妊娠が成立しない。この原因は、異種のMHCに起因する免疫応答によるものと考えられてきたが、異種の細胞移植が可能な免疫不全動物を代理母としても、異種胚妊娠は成立しない。この事から、非免疫学的な母子間認識が存在している事が強く示唆された。そこで、この非免疫学的な母子間認識の実態を解き明かすことを目的とした。2022年度は、子宮と胎児をつなぐ胎盤に着目し、マウスとラットのゲノム情報を合わせ持つ胎盤を作り、異種胚妊娠モデルの構築を試みた。4倍体細胞が胎盤系列として機能することから、まず、マウスの2細胞期胚の片方の割球にラット細胞を注入した異種間ハイブリッド胎盤-マウス胚を作製し、胚盤胞期胚までの発生率及びハイブリッド4倍体細胞の分布について観察した。同種のマウスであればES細胞とTS細胞を用いた場合で、胚盤胞期胚への発生率に違いは認められなかったが、ラットES細胞を用いた異種間ハイブリッド胎盤-胚では、胚盤胞期胚までの発生率がマウスに比べ著しく低下し、ほとんどの異種間ハイブリッド4倍体細胞は細胞分裂しておらず、異種間ハイブリッド胎盤の形成は期待できないことが分かった。そこで、次にラット胚を免疫不全マウスの代理母に移植する異種胚移植で、胚発生がどこまで進むのかを調べたところ、ラット胚は胎生5.5日目まで生存することが確かめられた。しかし、胚の大きさは同じ時期のマウス胚よりも明らかに小さく、特に胎盤の元となる胎盤外円錐などの胚体外組織が十分に増殖していなかった。前年に行った異種間集合キメラ胚の結果を合わせると、異種胚の栄養芽細胞は、代理母の子宮上皮に作用し脱落膜形成を誘起させることはできるが、脱落膜と胚体外細胞間での相互作用の異常により異種胚の細胞増殖が抑制されることが示唆された。
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Research Products
(3 results)