2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K19283
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
深見 真紀 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 部長 (40265872)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞 / 遺伝子 / 性 / 液-液相分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、液-液相分離などを含む新たな観点から、性分化疾患の発症メカニズム解明に挑むものである。本年度の代表的成果は下記のとおりである。 (1)卵巣機能不全と男性化徴候を伴う代表的多因子疾患である多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)患者44名のエクソーム解析を行った。患者のデータと対照群(非罹患日本人女性)301例の結果と合わせてoptimal sequence kernel association test(SKAT-O)を用いて解析した。その結果、患者群において有意にGSTO2遺伝子の希少タンパク障害性バリアントの頻度が高いことが見いだされた。この成績は、GSTO2が卵巣機能に関与する新規因子であることを示唆する。 (2)性分化疾患の原因としての11-oxygenated C19 steroidsの意義について検証した。11-oxygenated C19 steroidsのうち、11-ケトテストステロンはアロマターゼによる分解を受けずに胎盤を通過する。したがって、母体副腎腫瘍による11-ケトテストステロンや他の11-oxygenated C19 steroidsの過剰産生は、46,XX胎児の外性器男性化の原因となる。これは、46,XX性分化疾患の新規発症機序となる。 (3)尿道下裂の責任遺伝子の1つであるMAMLD1は、液-液相分離因子の一つである核内PML小体に局在すると推測される。本年度は、システマテイックレビューを行い、PML小体が関与する液-液相分離におけるMAMLD1の機能について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は多嚢胞性卵巣症候群におけるGSTO2の関与を明らかにし、論文として発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
既知性分化疾患関連因子の細胞内局在や機能を詳細に検討し、ヒト性分化に関与する新たなシグナルネットワークを解明する。とくに、近年発見された新規原因遺伝子DHX37の機能について詳細な検討を行う。さらに、多数の原因不明性分化疾患患者を対象として網羅的変異スクリーニングを行い、疾患に関与する新規バリアントを同定する。
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