2021 Fiscal Year Research-status Report
南極海外洋域の生物学的ホットスポット:ナンキョクスカシイカ稚仔からのアプローチ
Project/Area Number |
21K19292
|
Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
茂木 正人 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50330684)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 愛子 東京海洋大学, 学術研究院, 博士研究員 (00836843)
若林 敏江 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 教授 (80392918)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
Keywords | 海洋生態系 / サメハダホウズキイカ科 / 南大洋 / 食性 / 形態発育 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナンキョクスカシイカParalarva期からJuvenle期にかけての外部形態の発育と食性の変化を詳細に調べた.形態変化については,外套幅、頭幅、鰭長、鰭幅、触腕、第Ⅳ腕、漏斗長、口径において、15-25 mm MLで相対成長が変化することが分かった。消化管内容物は全体の71%が空胃であったが、空胃と判断された個体からも餌生物に由来すると考えられるDNAが検出された。カイアシ類とクラゲ類(鉢虫類,クダクラゲ類),魚類が90%以上の個体から検出された他、珪藻類、放散虫,オキアミ類、クシクラゲ,ハプト藻,サルパ類といった様々な分類群が検出された。15-25 mm MLで認められた相対成長の変化は,同時に行動様式が変化することを示唆している.しかしながら,本研究ではこのサイズ範囲以降の個体があまり採集されていないことから,食性の変化は明らかにすることができなかった.一方,彼らがカイアシ類やクラゲ類を始めとして多様な分類群を捕食していることが初めて明らかとなった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていた分布様式,形態発育,食性について一定の成果を得て学術論文の執筆を開始した.しかしながら,コロナ禍の影響で観測航海が2年続いて実施されなかったため,サンプル数が十分確保できていない.Paralarvae期からJuvenile期への転換期間のサイズが推定されたが,そのサイズの個体がほとんど採集されていない.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は南大洋観測航海が実施されることが前提だが,大型開閉式フレームトロールを運用し,サンプルの収集に努める.また,水産庁の調査で得られた本種のサンプルを借用しサンプルを補完する. ナンキョクスカシイカと同時に採集される,同じサメハダホウズキイカ科のダイオウホウズキイカ稚仔についても形態発育と食性について解析しナンキョクスカシイカとの比較研究も進める.
|
Causes of Carryover |
昨年度はコロナ禍で観測航海が実施できなかった.次年度は航海が計画され準備が進行している.この航海に2名程度参加する.その旅費(乗下船するオーストラリアへの航空運賃と乗船に関わる経費)と消耗品等の経費に充てる.
|
Research Products
(2 results)