2022 Fiscal Year Annual Research Report
歯状回顆粒細胞における神経伝達物質放出機構の発達変化および可塑性の解明
Project/Area Number |
21K19316
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
橋本谷 祐輝 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (50401906)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 海馬 / 苔状線維 / 膜容量測定 / シナプス可塑性 / CA3 |
Outline of Annual Research Achievements |
シナプス伝達効率が長時間に渡って増強する長期増強(LTP)は、記憶・学習の細胞レベルの基盤と考えられている。LTPには、シナプス後部で変化する場合とシナプス前部で変化する場合がある。なかでも、シナプス前部が変化するLTPに関しては、神経終末が非常に小さく実験的アプローチが難しいため、研究が進んでいない。歯状回の顆粒細胞の軸索である苔状線維と海馬CA3錐体細胞で形成されるシナプスのシナプス前終末は、大きな瘤状の神経終末を作り、皮質内のシナプスでは例外的に、直接電気記録が可能である。しかも苔状線維―CA3シナプスはシナプス前部の変化によってLTPが起こる。 本研究計画では、この特徴的なシナプスをモデルとし、LTP発現によるシナプス前部の分子機構の解明を目的とした。実験手法として光遺伝学の手法を使い、苔状線維―CA3シナプスのLTPを光照射によって誘導した。さらにシナプス前終末から直接パッチクランプすることによって膜容量変化を測定した。 研究結果として以下のことが明らかになった。1)シナプス前終末において、LTP誘導後、活動電位やカルシウムチャネルに変化は見られなかった。2)LTP誘導によって即時放出可能プールのサイズは変化しないが、放出確率が上昇することがわかった。以上の結果からLTP発現によってシナプス小胞の放出確率が増大することによってLTPが起こることが示唆された。
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