2023 Fiscal Year Annual Research Report
大規模ゲノム再編成を基盤とする革新的天然物創製法の開発
Project/Area Number |
21K19324
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅井 禎吾 東北大学, 薬学研究科, 教授 (60572310)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 天然物化学 / 休眠遺伝子 / ゲノム再編成 / 糸状菌 / 制限酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
糸状菌は、これまでに数多くの医薬品の開発に貢献する天然物を生産する最も重要な微生物資源の一つである。糸状菌由来の有用天然物の探索は、長い歴史の中で盛んに行われてきたが、糸状菌のコレクションから実験室での培養、続く、培養物の分析という古典的な方法がやり尽くされ、新しい天然物の獲得が難しい状況が続いている。一方で、近年のゲノム解析技術の進展は、糸状菌のゲノム上に、未開拓の天然物の生産に関わると予想される天然物生合成遺伝子クラスターが数多く存在することが明らかにされた。しかし、これらのほとんどは、自然環境ではなんらかの刺激により発現が誘導され、そこにコードされる天然物が生産され利用されている可能性があるが、実験室での培養条件では、それらにコードされる天然物の生産を誘導することは難しい。 さて、糸状菌の天然物はさまざまな外部刺激に応答し変動する、さまざまなシグナルの下流に位置している。また、最近のゲノム解析や分子生物学研究の発展により、遺伝子のゲノム上での位置、すなわち遺伝子座の違いで遺伝子発現が変動したり、また、エピジェネティック制御が変化したりと、さまざまな遺伝子発現パターンの変動することがわかってきた。そこで、本研究では、制限酵素によるDNA切断と修復を契機とする大規模ゲノム再編成技術を応用することで、新しい糸状菌の休眠遺伝子由来天然物の生産法の開発を試みた。モデルとしてAspergillus nigerを用いて、制限酵素を異種発現し、継代を最適化することで、多様な形質を示す、変異株の取得に成功した。それらのゲノム解析により、大規模ゲノム再編成が糸状菌でも誘発できることを初めて示した。また、形質の変化に加え、二次代謝物の生産プロファイルも親株と比較して変化していることも見出した。今後、本研究成果を基盤に、天然物探索へと利用できる汎用的な手法へと発展させることを目指す。
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