2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K19332
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
中津 亨 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (50293949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 克雅 和歌山県立医科大学, 薬学部, 准教授 (20415087)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 神経活動 / 生物発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の生命活動の維持には継続的な神経活動が行われることで達成される。神経情報伝達は活動電位という膜電位の変化が神経細胞から次の神経細胞への伝播によって行われる。つまり、神経活動の正確な把握には神経細胞の膜電位の変化を正確にとらえることが必須である。この膜電位の可視化を行うために、膜電位感受性の小分子化合物や蛍光タンパク質の開発が進められている。しかしながら、蛍光を発生させるためには励起光の照射が必要であるため、十分なシグナル対ノイズ比が得られないことや、励起光と蛍光の波長が近い場合に分離が困難である、という問題がある。そこで本研究では、この系に生物発光を利用することを考案した。化学反応による生物発光は、外部からの光照射は必要なく、発せられる光自体を観測できる。近年開発された発光エビの発光酵素の発光強度を改良した20kDa程度の発光タンパク質(NanoLuc)を用いた膜電位感受性発光酵素(VoltaLuc)を開発することを目的とした。そこで膜電位感受性イオンチャネルとしてはNavAbを用い、NanoLucとのキメラ蛋白質の発現を試みた。このイオンチャネルにはN末端側の四本の膜貫通ヘリック スは電位センサードメイン(VSD)とC末端側の二本の膜貫通ヘリックスによって形成された四量体のポアドメイン(PD)が存在する。そこでまずはVSDの細胞外 ループに、NanoLucの157番目からのC末端の13残基のNativePeptide(NP157)を組み込み、156番目までのアミノ酸領域(NL156)を添加して光るコンストラクトの作成を試みた。しかしながら良好な発現が見られるものはなく、現在条件を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現段階では良好な発現を示すコンストラクトが得られていない。新しい研究環境でのセットアップに時間がかかり、十分な実験時間を 費やすことができなかった。そのために、どのようなコンストラクトが適しているのかを試行錯誤するための実験が十分にできなかったためと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のポイントとして、良好な発現をするコンストラクトを作成することである。そのためにはきちんとしたタンパク質のフォールディング、すなわち正しい立体構造が必要となる。そのためには、すでにある立体構造をもとに、キメラタンパク質のより正しい立体構造予測を行う必要がある。そのために近年改良され、精度が上がってきたAlphaFold2や、これまでの構造情報をもとにしたホモロジーモデリングなども積極的に活用することにより、より確度の高い良好な発現を行うと考えられるコンストラクトをたくさん準備する。すでに出来上がっている発現系により効率的に、より多くのコンストラクトを準備し、実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究室の立ち上げにより研究の時間が取れなかったこと、さらにはコロナにより使用すべき装置の調達が遅れ、研究の進捗が遅れてしまったためである。
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