2022 Fiscal Year Research-status Report
急性相蛋白質オロソムコイドによる蛋白尿抑制の分子基盤解明と慢性腎臓病治療への応用
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21K19340
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
渡邊 博志 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (70398220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 徹 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (90423657)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | オロソムコイド / AGP / 糸球体バリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は糸球体内皮バリア機能に対するAGPの保護効果を検討した。具体的には、AGPの糸球体バリア機能における内因性AGPの寄与を明らかにすべく、WT及びAGP KOの長期飼育を行なった。その結果、WTとAGP KOの間に生存率、体重、アルブミン尿、血圧、ネフリン発現に差はなく、腎組織学的評価においても変化は観察されなかった。よって、内因性AGPは健常状態 (若年齢-中年齢) において糸球体バリア機能への影響は少ないことが示唆された。そこで、アドリアマイシン(ADR)抵抗性であるC57BL/6系統マウスに対してADRを投与した結果、WTではアルブミン尿が生じなかったのに対し、AGP KOにおいてはADR投与7日後からアルブミン尿の上昇傾向が示され、ネフリン発現はWTと比較し有意に低下した。さらに、ADR投与21日後においては、WT+ADR群と比較し、AGP KO+ADR群で有意なアルブミン尿の上昇が観察された。この時、F4/80免疫染色、炎症性サイトカイン、CD163発現はWT+ADR、AGP KO+ADR群で変化は見られなかった。加えて、ADR投与21日後においてWT+ADR群及びAGP KO+ADR群ともに健常WTと比較し有意に糸球体ネフリン発現が減少した。これらの結果より、AGP KO+ADR群でアルブミン尿が上昇した機序には、炎症とネフリン発現は関与していない可能性が示唆された。そこで、糸球体中AGP局在を評価した結果、WT+ADR群ではAGP KO+ADR群と異なり糸球体にAGPの存在が認められた。すなわち、AGPは糸球体保護的に働くことが示された。従って、内因性AGPは健常状態では寄与が少ないものの、糸球体障害時には糸球体保護的に働き、アルブミン尿抑制作用を有することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AGP KOマウスを用いて、腎障害におけるAGPの糸球体バリア機能の一旦を明らかにすることが出来たため、実験計画は概ね順調に進呈していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の内容で論文化を目指す。また、AGP KOマウスの表現型解析の結果より、脂質代謝異常が観察されたため、AGPによる脂質代謝制御の分子基盤解明を目指す。従来、腎病態と脂質代謝との関連が強く示唆されていることから、AGPによる脂質代謝制御の解明は病態生理の理解と治療戦略の開発に重要であると思われる。
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Causes of Carryover |
旅費については、学会のWeb開催に伴い交通費・宿泊費が不要となった。また、物品費について当初100万円を予定していたものの、担当大学院生のコロナ感染等 実験制限も加わり予定の金額より少ない支出となった。また、実験消耗品等についても、既存のものを優先して代用することができたため。
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Research Products
(4 results)