2021 Fiscal Year Research-status Report
Critical roles of smooth muscle cells on novel mechanisms of vascular remodeling
Project/Area Number |
21K19343
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 良明 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (80707555)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
Keywords | 血管リモデリング / 血管平滑筋細胞 / カルシウムシグナリング / 光遺伝学 / CaMKK2 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では分子<オルガネラ<細胞<組織<個体の多階層検証により、血管平滑筋細胞(VSMC)を主軸とした代表者独自の血管リモデリング形成仮説を包括的に実証することを目指す。 1. VSMCによるCa2+ストレスセンシングの分子機構の解明:これまでに、Ca2+/CaM dependent kinase kinase-2 (CaMKK2)の下流分子として、CaMK1aを見出した。初代培養および急性単離したVSMCを用いた解析から、脱分極刺激に伴う細胞内Ca2+濃度上昇により、CaMK1aが細胞膜あるいはカベオラから核内へ移行することを明らかにした(Suzukiら、PNAS, 2022、鈴木ら、論文投稿中)。また、ゲノム編集により、CaMKK2-KOマウスを作製した。DNAシーケンス解析とウェスタンブロッティングにより、CaMKK2がゲノム、タンパク質レベルで消失していることを確認した。 2).生体内VSMC特異的刺激を用いた本研究仮説の個体での実証:個体レベルで新規仮説を検証するには、生体内でVSMCのみにCa2+ストレス負荷を与えて、実際にMΦが動脈へ集積するか検証する必要がある。そこで、SMC特異的チャネロドプシン発現(SMC-ChR2-YFP)マウスを用いた光遺伝学による生体内VSMC特異的刺激系を新たに導入する。当該年度では、ジャクソン研究所より、3系統の遺伝子改変マウスを導入した。SMC特異的にCreを発現するマウスとChR2-YFPマウスを掛け合わせることで、実際にSMC特異的にYFPが発現することと、光刺激により細胞内Ca2+濃度が上昇することを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光刺激を用いたVSMC特異的刺激による血管リモデリング誘導の検証は、本研究課題の最重要項目である。この目的を達成するには、SMC特異的チャネロドプシン発現(SMC-ChR2-YFP)マウスを導入することが必須である。当該年度には、SMC-ChR2-YFPマウスの作製に必要な遺伝子改変マウスを名古屋市立大学 大学院薬学研究科に導入することができた。また、SMC-ChR2-YFPマウスにおいて、SMC特異的なYFP発現と、光刺激による細胞内Ca2+濃度の上昇が観察され、in vitro系でSMC特異的光刺激によるCa2+ストレス誘導に成功した。 当該年度では、CaMKK2が血管リモデリング形成に関わることを明らかにし、研究成果を国際誌に発表した(SuzukiらPNAS, 2022)。また、下流分子としてCaMK1aを同定することができた(Suzukiら論文投稿中)。
|
Strategy for Future Research Activity |
1).SMCによるCa2+ストレスセンシングの分子機構の解明:CaMKK2-KOマウスを用いて、CaMKK2の血管リモデリング形成に対する役割を詳細に解明する。 2).生体内VSMC特異的刺激を用いた本研究仮説の個体での実証:SMC-ChR2-YFPマウス由来の動脈を、ex vivoおよびin vivoで光刺激して、SMCの興奮転写連関がMΦの集積や炎症、SMCの脱分化・増殖、血管リモデリングを誘発するか検証する。 3).SMC由来マクロファージ様細胞(SDMC)の特性および血管リモデリングへの寄与の解明:光刺激や結紮によりSMC-ChR2-YFPマウスの動脈に肥厚巣を作製し、そこでSDMCと単球由来MΦが共存するか解析する。 4).CaMKK2を標的とした血管リモデリング疾患の新たな治療戦略の創出: CaMKK2-KOやCaMKK2阻害薬により、血管リモデリングを抑制できるか各種疾患モデルで検証する。
|
Causes of Carryover |
当該年度は、本研究課題で使用するSMC特異的ChR2発現マウスと光刺激装置の導入に費用を費やした。当該年度は、導入した遺伝子改変マウスを名市大の動物飼育施設内で繁殖することにほとんど終始したため、SMC特異的ChR2発現マウスを用いた具体的な実験を行うことは困難であった。2022年度から安定的にSMC特異的ChR2発現マウスを作製できる見込みであるため、差額の費用を使用して、順次計画した実験を行う予定である。
|
Research Products
(28 results)