2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K19345
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
柴崎 正勝 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 所長 (30112767)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | ナイトレン |
Outline of Annual Research Achievements |
ナイトレンはオクテット則を満たさない高反応性活性種であり,不活性炭素-水素結合の官能基化に代表される高難易度化学変換に用いられてきた.しかし,その高反応性ゆえに活性種の生成には化学量論量の酸化剤による前駆体の活性化も正当化されてきた.本萌芽研究では,このような目的物以上に活性化剤由来の副生成物を伴う現状を打破するべく,酸化剤フリーのナイトレン生成法の開拓を目指している. 今年度はイミンとナイトレンが異性体である関係に着目し,イミンからナイトレンへの異性化を促進する触媒反応の開発に向けた検討を行った.具体的には密度汎関数法を用いて種々の金属と配位子の組合せを計算化学的手法によってスクリーニングした.配位子上の置換基としてメチル,エチル,tert-ブチル基などのアルキル基,メトキシなどのアルコキシ基,置換芳香環やフッ素や塩素原子などのハロゲンを導入した構造を考慮した.様々な置換パターンについて自動生成させたSMILESに対し,RDKitを用いて配位子の立体構造を生成させ計算初期構造とした.得られた錯体構造を,銅・ビピリジン錯体のポテンシャルエネルギー曲面を鋳型としてGaussian16を用いて量子化学計算を実施した.計算結果は,1)一重項状態においてナイトレンの方が対応するイミンよりも不安定であることを予想通り示すと同時に,2)三重項状態では必ずしもイミンの方が安定とは限らないことを示していた.さらに一重項よりも三重項イミンの方が安定である場合も見出されており,錯体構造依存的にポテンシャルエネルギー曲面の構造が大きく変化することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書でマイルストーンとした種々の金属錯体の計算化学的スクリーニングが順調に進行しているため
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得られた計算化学的知見をもとに,本年度は実験的にターゲット反応を促進する金属錯体の同定を狙う.具体的には1)一重項イミンの光励起からの項間交差を介した三重項への転換,及び2)ポテンシャルエネルギー曲面交差領域のエネルギー極小値の利用,の二つのアプローチで課題解決に取り組む. 錯体構造の最適化にあたっては,特に1電子遷移を促進する吸光団を金属触媒中の配位子へと導入することで項間交差促進効果を狙っていく.またナイトレンの基底状態は主に金属種によって規定されると考えられるため,計算化学を用いてどの金属を用いた際に三重項基底状態が安定であるかを見極めていく.
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Causes of Carryover |
東京地区の新型コロナウイルス感染症拡大に起因し,所属機関の決定により研究活動を実施できない期間が存在したため.
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Research Products
(2 results)