2022 Fiscal Year Annual Research Report
Odor mixture coding in the olfactory system
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21K19355
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今井 猛 九州大学, 医学研究院, 教授 (70509851)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 嗅覚受容体 / アロステリック効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の嗅覚系において、多様な匂い分子は、約1000種類存在する嗅覚受容体(OR)の組み合わせによって識別される。従来、匂い分子はこれらの嗅覚受容体の「活性化パターン」によって認識されると考えられてきた。しかしながら、こうした研究は、単一の匂い分子を動物に嗅がせる実験によって確立された考え方である。一方、自然界の匂いは単一の匂い分子からなっていることはきわめてまれであり、多くは複数の匂い分子が複雑に混ざり合ったものであるが、そうした匂いの混合物がどのように認識されるのかは十分に調べられていない。申請者らの最近のin vivoイメージングの研究から、嗅神経細胞は匂い分子に応答して活性化するだけでなく、しばしば抑制性応答を示すことが判明した(Inagaki et al., Cell Rep, 2020)。更に、複数の匂い分子の混合物を嗅がせると、しばしば互いの匂い分子応答を抑制し合ったり(拮抗抑制)、強め合ったりする(相乗効果)ことが明らかになった。 本研究では、特にアロステリック効果によって生じる相乗効果について、in vivoで更に詳しい解析を行った。in vivoカルシウムイメージングを用い、濃度応答曲線を作成したところ、一部のnon-agonistについて、正のアロステリック効果を示すことが確認できた。濃度応答曲線が左シフトするケースと、上方シフトするケースの2通りが観察された。さらに、炭素差の異なるアルデヒドによるアロステリック効果を調べたところ、アロステリックエンハンサーにはリガンド特異性があることも確認した。ある嗅神経細胞では限られた種類のアルデヒドで相乗効果が生じる一方、別の嗅神経細胞では多くのアルデヒドによる相乗効果が見られた。現在、こうした現象を再構成系を用いて確かめるとともに、嗅覚受容体の構造レベルで、agonistとallosteric effectorの結合部位が異なることを確かめようとしている。
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Research Products
(7 results)