2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K19361
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中邨 智之 関西医科大学, 医学部, 教授 (20362527)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞外マトリックス / 弾性線維 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴って体中の組織の伸縮性が失われることにより、皮膚のたるみだけでなく、動脈中膜硬化や肺気腫などの重要な老化関連疾患がひきおこされる。これらは弾性線維という伸縮性をもつ細胞外マトリックスの分解・劣化が直接原因であるため、弾性線維の分解・劣化予防と再生は高齢化社会における重要な課題である。一般に弾性線維のターンオーバーは極めて遅く、特に加齢組織では弾性線維の再生はおこらない。弾性線維の再生を目指すためには、弾性線維の形成機構を知る必要がある。本研究では、オリジナルの弾性線維形成評価系とsiRNAライブラリーによるスクリーニングを用いて、発現抑制が弾性線維形成に影響する遺伝子を網羅的に検索・同定し、その遺伝子産物(タンパク質)の機能を明らかにする。特に発現抑制が弾性線維形成を促進するタンパク質は弾性線維再生のための標的分子となることが期待できる。また同時にtype I コラーゲンも染色し、エラスチン/コラーゲン量比を変える遺伝子(線維化促進・抑制遺伝子)についても探索する。1年目は、スクリーニング系の構築と検証を行った。培地の種類、血清濃度、培養期間等をさまざまに変えながら条件検討し、弾性線維とコラーゲン線維の形成の最適条件をそれぞれ見出した。また弾性線維形成の最適条件においてsiRNAを用いてLTBP-4遺伝子のノックダウンを行ったところ、弾性線維形成がほぼ起こらないことを確認した。また蛍光免疫染色に用いる抗体について検討し、抗コラーゲンtyp 1抗体についてはカスタム抗体を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト皮膚線維芽細胞を96穴プレートで培養し、弾性線維を作らせる系を作製した。またこの系でsiRNAによる遺伝子ノックダウンがうまくいくことも確認した。抗エラスチン抗体と抗コラーゲンtype 1抗体の二重染色により、これら細胞外マトリックスの形成に影響を与える遺伝子を網羅的に解析するという計画であるが、(1) 弾性線維形成の最適条件とコラーゲン線維形成の最適条件が異なることが明らかとなり、スクリーニングが二度手間となる可能性がでてきた (2) うまく染色できることを確認した抗コラーゲンtype 1抗体の大ロットを発注したところ、そのロットの抗体の性能が低くコラーゲン線維の蛍光免疫染色ができない、という問題に直面した。
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Strategy for Future Research Activity |
市販の抗コラーゲンtype 1抗体の問題が解決しないため、ラットコラーゲンtype1をニワトリを免疫することによりカスタム抗体を作製した。この抗体を用いてスクリーニング可能か検証する。また弾性線維形成の最適条件とコラーゲン線維形成の最適条件の違いについては、2回スクリーニングを行うことを検討している。
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Causes of Carryover |
スクリーニングで使用するAbcam社の抗コラーゲンtype 1ポリクローナル抗体の大ロットを発注したところ予想外に性能が悪く、再度作製された別ロットも要求水準を満たしていなかったため、新たにニワトリにラットコラーゲンtype 1を免疫してカスタム抗体を作製した。これらに手間取ったため、スクリーニングに本格的に取りかかれなかったのが原因である。 しかし新たに作製した抗コラーゲン抗体は要求水準を満たしているため、次年度は前年度分と合わせてスクリーニングを行うことが可能である。
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Research Products
(1 results)