2021 Fiscal Year Research-status Report
自閉症児父親由来血漿エクソソームを用いた自閉症予測診断および病態発症機構の解析
Project/Area Number |
21K19374
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
星野 歩子 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (00819964)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで、がんならびに自閉スペクトラム症という異なる病態を呈する疾病のなかで、エクソソームという共通した細胞間コミュニケーションメカニズムを介して、脳へそれぞれのエクソソームが特有の影響を与えることを証明してきた。このエクソソーム研究を自閉スペクトラム症においてより深く理解するため、本研究ではこれまで解析されてきていない父親の血漿由来エクソソームについて知識を深めていく。我々は、一見関連のなさそうな父親の血漿中エクソソームに着目することで自閉スペクトラム症の遺伝的要因・環境的要因に迫るとともに、胎児期の自閉スペクトラム症発症機序について知識を深められると考えており、挑戦的かつ芽生え期研究として適していると理解する。 本年度は自閉スペクトラム症児の父親由来エクソソームと定型発達児の父親由来エクソソームの解析を行い、その含有タンパク質に違いがあることを明らかにした。検出されたタンパク質の種類は共に同程度であり、それぞれの網羅的解析の結果を機械学習を用いて解析をするとそれぞれのグループが綺麗に分かれることがわかった。また、二つのグループを分ける含有量が有意に異なる分子も明らかにすることができた。また、ナノサイトを用いたエクソソームサイズについては二つのグループに差はみられず、1mLの血漿中に存在するエクソソーム数も同程度であった。これらの情報から、二つのグループの相違を明らかにできたので、今後その生物学的意義などについて検討を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は自閉スペクトラム症児の父親由来エクソソームと定型発達児の父親由来エクソソームの解析を行い、その含有タンパク質に違いがあることを明らかにした。検出されたタンパク質の種類は共に同程度であり、それぞれの網羅的解析の結果を機械学習を用いて解析をするとそれぞれのグループが綺麗に分かれることがわかった。また、二つのグループを分ける含有量が有意に異なる分子も明らかにすることができた。また、ナノサイトを用いたエクソソームサイズについては二つのグループに差はみられず、1mLの血漿中に存在するエクソソーム数も同程度であることがわかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
自閉スペクトラム症児の父親および定型発達児の父親由来の血漿エクソソームを妊婦マウスへ投与し、それが胎児へ取り込まれるかについて調べる。さらに、胎児の脳発生に影響があるか、またマウスの行動へ何かしら変化が伴うのかについて明らかにする。 その結果により、自閉スペクトラム症児の母親由来のエクソソームとの違いについて検討する。母親由来のエクソソームを妊婦マウスへ投与するとその仔マウスの行動様式が異なることを既に見出していることから、エクソソーム含有タンパク質やmiRNAの相違を元に仔マウスの脳発生に関わる分子、また自閉スペクトラム症の発症に関わりうる候補分子の同定を目指す。
|
Research Products
(20 results)