2022 Fiscal Year Research-status Report
住血吸虫モデルによるin vitro発育システムの開発
Project/Area Number |
21K19383
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉川 正英 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50230701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王寺 幸輝 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50343421)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 寄生虫 / ライフサイクル / 住血吸虫 / マンソン住血吸虫 / 吸虫 / 培養 / 感染症 / 貝 |
Outline of Annual Research Achievements |
住血吸虫症は今も尚、2億人以上の罹患者を有する世界三大寄生虫症のひとつである。本研究では、中間宿主(貝)に着目し、貝内の無性生殖ステージの動態を精査することで中間宿主を用いずに発育を可能とする『in vitro発育システム』の開発を目標とする。 初年度、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)のライフサイクルを、中間宿主(Biomphalaria glabrata)および実験動物(ICRマウス)により実験室レベルで維持を確立後、感染貝内における発育の解析実験を行った。本年度(令和4年度)は、中間宿主であるB. glabrataより全臓器、あるいは前年度の住血吸虫動態解析で得られた情報を元に、無性生殖ステージで寄生する諸臓器を摘出し、タンパク質成分を調製後、幼虫ステージのin vitro培養系に添加することで発育の影響を調べた。その結果、各種臓器由来成分では、幼虫の生存率や発育に大きく影響することが明らかとなった。今後は、それらの因子を特定することで、発育に必要な環境因子の解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、期待した実験成果が得られており、学会発表、論文での成果報告を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(令和5年度)は、住血吸虫の貝感染後における発育環境成分を多角的に解析する予定である。具体的には、中間宿主のB. glabrata諸臓器由来タンパク質成分を抽出後、S. mansoniのin vitro培養系に、種々の抽出タンパクを組み合わせることで、幼虫の発育や生存に影響を及ぼす因子を特定する。更に、それらの濃度や添加スケジュールを検討することで、発育制御が可能かを検討する。また、B. glabrata諸臓器よりRNA抽出を行い、NGS解析により、貝の各種臓器に由来する特定物を遺伝子工学的に解析し、基礎的データの構築を行う。そして、臓器由来タンパク質添加実験によって得られる成績との相関を解析することで、住血吸虫発育に必須の因子を同定する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)本研究計画の2年目以降(令和4年度以降)において、種々の遺伝子発現を網羅的に解析する目的で、NGS解析や受託研究費等の発生が予想された。本年度は、住血吸虫が発育する諸臓器を解析するため、主に、消耗品(各種緩衝液やプラスチックチューブ等)や試薬等の購入に使用した。その際、必要最小限の量を計画的に購入することで、繰越金を捻出し、来年度に備えた。 (使用計画)次年度は繰越金を合算して、NGS解析等を用いた更なる解析を行いつつ、これまでに購入した消耗品を継続して使用することや、実験に必要な物品を計画的に購入することで、研究を遂行する。
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Research Products
(10 results)