2022 Fiscal Year Research-status Report
Immunochondria: Study on a center role in the innate immunity
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21K19389
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
小柴 琢己 福岡大学, 理学部, 教授 (70403970)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / イムノコンドリア / 自然免疫 / 細胞内寄生虫 / トキソプラズマ原虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアは、生命活動に必須のエネルギー産生を担うオルガネラである。近年、ミトコンドリアは自然免疫におけるプラットフォームとしても機能することが分かってきた(イムノコンドリア)。一般に、細胞内のミトコンドリア形態は特徴的で、教科書などで描かれるピーナッツ状の構造体としては存在せず、細胞質全体に管状の網様構造を形成・分布し、ダイナミックに融合・分裂を繰り返す(ミトコンドリア・ダイナミクス)。ミトコンドリア・ダイナミクスは生物進化の過程で保存された共通のシステムと思われ、細胞の恒常性を維持していく上で不可欠の現象と考えられている。このようなミトコンドリアの動的な特性は、イムノコンドリアの仕組みを理解する上で有用な手掛かりになり得る。
本研究では、「哺乳動物におけるミトコンドリア・ダイナミクスの理解に基づいた生理機能の解明、特に感染微生物への生体防御(自然免疫)」について探究することを目的とした。そこで該当年度は、前年度までに見出したイムノコンドリア関連の調節タンパク質に関して、その仕組みを理解するための実験系を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
該当年度は、細胞内寄生虫(トキソプラズマ)と宿主ミトコンドリアとの相互作用に関する実験系を構築することができた。具体的には、ヒト培養細胞株に対してトキソプラズマ原虫を感染し、細胞内で原虫の増殖後に、細胞分画を行い、宿主ミトコンドリアに結合する原虫由来のタンパク質を探索した。その結果、原虫内から分泌される複数種類のタンパク質が同定された。この内の一つの原虫由来タンパク質は、単独でも培養細胞内で過剰発現させた際に宿主ミトコンドリアへ輸送されており、ミトコンドリアと微生物由来の成分との相互作用を確認することができた。現在は、その詳細な相互作用様式についてin vitro解析を中心に明らかにする方法を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、以下の内容を計画している。
1)宿主ミトコンドリアと結合するトキソプラズマタンパク質の構造機能解析を実施する
2)この原虫タンパク質をコードする遺伝子の破壊株(変異体)を作製し、その表現型の解析を進める
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Causes of Carryover |
該当年度に計画していた抗体作製(受注)が当初の予定通りに納品出来ず、翌年度の納入として計画が変更されたために、その経費ならびに関係する消耗品の購入が出来なかった。この分の予算執行は、次年度に問題なく行えることが確認できた。
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Research Products
(4 results)