2021 Fiscal Year Research-status Report
Construction of the foundation for the elucidation of the resistance mechanisms of the anti-PD-1 cancer therapy
Project/Area Number |
21K19392
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮島 倫生 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (80586404)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | PD-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではがん細胞および宿主免疫系の両者の視点からPD-1療法耐性メカニズムを解析可能とする実験系を構築し、がんのPD-1療法耐性メカニズムの解析基盤を構築することを目的としていた。この目的に即して今年度は大きく2点の成果が得られた。 第一に、PD-1の機能不全により亢進した抗腫瘍応答に対して耐性を獲得したがんをin vivoでノンバイアスにスクリーニングする実験系を作成した。MC38マウス腫瘍細胞株は野性型マウスでは腫瘍を形成するが抗PD-1抗体の投与や、PD-1欠損マウスへの腫瘍接種時には腫瘍は排除されることが知られている。このMC38細胞を多数のPD-1欠損マウスへ接種してPD-1の機能不全により亢進した抗腫瘍応答に対して耐性を持つ細胞のスクリーニングを試みた。実際には野性型マウスと比較して時間は要するものの、PD-1欠損マウスにおいてもがんを形成する7種類の細胞株を得ることができた。このようにPD-1の機能不全により亢進した抗腫瘍応答に対する耐性株をスクリーニングシステムが構築され実際に耐性株が得られたことから、がんのPD-1療法耐性メカニズムの解析基盤が構築されたと言える。 第二に、PD-1の機能不全に起因する亢進した抗腫瘍応答に対するがんの耐性メカニズムに関与する候補化合物としてGABAが同定された。神経伝達物質としてよく知られていたGABAがB細胞によっても産生され腫瘍抑制性のマクロファージ の分化を誘導することで抗腫瘍応答を抑制することを明らかにし報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、がんの抗PD-1抗体療法耐性メカニズムの解析基盤となるスクリーニングシステムが構築されたことから概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究計画として今年度の2点の成果を基に研究を推進する。 第一の成果としてPD-1の機能不全により亢進した抗腫瘍応答に対して耐性を持つがん細胞をスクリーニングし、7種類の細胞株を得た。この7種類の細胞株をPD-1欠損マウスに接種しPD-1欠損マウス中での腫瘍形成能を確認するとともにその性質を明らかにしていく計画である。 第二の成果としてPD-1の機能不全に起因する亢進した抗腫瘍応答に対するがんの耐性メカニズムに関与する候補化合物としてGABAを同定した。このGABAシグナルの阻害が抗PD-1抗体療法の効果を亢進する可能性についてもマウスモデルを用いて検証する計画である。
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Causes of Carryover |
本研究課題では癌細胞や免疫細胞の解析のためにセルソーターを使用しているが、研究を加速度的に推進するためにセルソーターの性能を上げる(2way-sortから4 way-sort: )ことを計画している。本年度に生じた次年度使用額はそのアップグレードに使用する。
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