2021 Fiscal Year Research-status Report
神経膠芽腫治療と脳組織再建の同時処理による腫瘍丸ごと組織正常化ストラテジーの確立
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21K19396
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 亨 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30270573)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 神経膠芽腫 / 神経分化 / 正常化 / 組織再建 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究を遂行するために、多能性幹細胞や神経幹細胞から機能的な神経系細胞分化を誘導することが報告されている複数の化合物群を抽出し、これら化合物の神経膠芽腫幹細胞(GIC)に対する影響を検討した。その結果、GICから神経細胞分化とオリゴデンドロサイト分化を最も効率的に誘導する化合物をそれぞれ1種類決定した。同時に、これら候補化合物がGICの増殖を阻害することをMTTアッセイにより確認した。更に、これら化合物で処理したGICの網羅的な遺伝子発現解析を行い、神経細胞分化とオリゴデンドロサイト分化を誘導していることを確認した。 候補化合物の生体内投与に先立ち、マウスの毒性試験を遂行した。その結果、投与方法は腹腔内投与又は髄腔内投与が有効であることを決定すると共に、マウスに毒性を示さない化合物の最大投与量・回数を決定した。これらの実験結果を基にGICを脳移植したマウスに候補化合物をそれぞれ投与したところ、両方の化合物について担癌マウスの生存期間の延長を確認した。更に、化合物未処理と処理した担癌マウス脳の切片を用いたヘマトキシリン・エオジン染色と免疫染色を行い、投与化合物のGICに対する抗腫瘍効果と神経系細胞分化誘導能を確認した。 これらの研究と並行して、DHODH阻害剤を効率よく脳内に送達させる方法を確立し、GIC脳移植モデルを用いて最も効果的に抗腫瘍効果を発揮する化合物の選定とその投与量・回数を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題申請時の予定通り、昨年度中にGICの神経系細胞分化を誘導する化合物を決定し、GIC脳移植モデルを用いて腫瘍細胞の神経系細胞分化誘導能を確認した。また、DHODH阻害剤を脳内へ送達する方法を確立し、抗腫瘍効果を発揮する候補阻害剤を決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
GIC移植により引き起こされる運動障害モデルを確立し、決定した化合物投与とDHODH阻害剤のコンビネーションによる治療効果を試みる。同時に、本治療法による脳腫瘍を形成した脳の再建について、免疫染色等によりその治療効果を検討する。
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