2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K19419
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
高橋 暁子 公益財団法人がん研究会, がん研究所 細胞老化研究部, 部長 (60380052)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞老化 / SASP / DNA断片 / cGAS / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から、老化細胞では核の構造の異常が観察され、細胞質に蓄積した自己DNA断片によって細胞質DNAセンサーであるGAS/STING経路が活性化することでSASPを誘導し、発がんを誘発することを報告してきた(Takahashi et al., Nature Communications, 2018)。しかし、老化細胞において、cGAS/STING経路の上流シグナルとなる細胞質DNA断片産生の分子機構は不明であった。そこで、ゲノムDNAの断片化に関わる分子のスクリーニングを行い、RNA分解酵素であるRNaseH2A遺伝子の発現と酵素活性が低下することを見出した。RNaseH2A遺伝子はE2F転写因子複合体の転写制御されていることから、老化細胞のようなp16やp21などのサイクリン依存性キナーゼの阻害因子の存在下ではE2F活性の低下によりRNaseH2Aの発現が抑制されることが明らかとなった。RNaseH2活性の低下はゲノムの不安定化と断片化を引き起こしcGAS/STING経路を活性化することでSASP遺伝子群の発現誘導に機能すること、早老症であるWerner症候群の患者由来細胞ではRNaseH2Aの発現低下とゲノムDNAの断片化、炎症性遺伝子群の発現が誘導されていることが示された。さらに、大腸がんなどの複数のがんにおいて、RNaseH2AとE2F1の発現に正の相関があること、RNaseH2Aの発現低下が予後不良に関わることを明らかにし、論文を発表した(Sugawara et al., Commun. Biol., 2022)。さらに、昨年までに同定したヒトゲノム由来のDNAに対するcGASの結合を阻害するような低分子化合物を用いて濃度依存性効果や細胞傷害効果、cGAMP産生能やSASP遺伝子の抑制効果の判定を行った。
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Research Products
(12 results)