2021 Fiscal Year Research-status Report
高悪性がんにおける「エネルギー産生/NADホメオスタシス」相互依存からの脱却
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21K19420
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Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
田沼 延公 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 上席主任研究員 (40333645)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | がん / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
エネルギー代謝とNAD合成とは、ポジティブループの関係にある蓋然性が高い。しかし、高悪性がんの多くは、「エネルギー産生/NADホメオスタシス」の相互依存から脱却しているように見える。本研究では、このNAD低下への耐性を、高悪性がんの新たな「代謝リプログラム」と捉え、そのメカニズムを解明することを目的として種々の検討を行っていく。 培養系の場合、NAD合成のソースとなり得る栄養素としては、Namとトリプトファンがある。Namからの合成(サルベージ経路)を止めるためにNAMPT阻害剤を、トリプトファンからの合成を止めるためにNADSYN阻害剤(STK459768)にて細胞を処理して反応をしらべた。その結果、NAMPT阻害によるNAD低下があまり起きない細胞株を同定した。されら株では、Trpを基質にしたNAD合成が活発と予想された。そこで、それら細胞株をNADSYN阻害剤にて処理すると、非常に速やかで顕著な細胞死が誘導された。ところが、いくつかの実験証拠から、上記NADSYN阻害剤が誘導する細胞死はNAD低下を介さないオフターゲット効果によるものであることが強く示唆された。従い、前述のNAMPT阻害に抵抗性(NADレベルの点で)を示す細胞で、TrpからのNAD合成がどの程度あるのか、結論には至っていない。 一方で、NAMPT阻害によってNADレベルが低下しても死なない細胞株を同定した。それら細胞では、NADが低下してもエネルギー欠乏は起きていなかった。そこで、安定同位体グルコースを使ったトレーサー実験を行うと、GAPDH・ADSS・IMPDH活性の低下は見られるものの、完全には抑制されていなかった。同時にそれら細胞のグルコース代謝の特徴として以下の性質を見出した。1)乳酸への高フラックス、2)Ser合成経路, プリン合成経路, Ala合成, TCA回路への低フラックス。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NADSYN阻害剤の性質に問題があることが分かり、他の手法を検討せざるを得なくなったが、トレーサー解析等がほぼ予定通りすすんだ点などを総合判断し、上記評価とする。
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Strategy for Future Research Activity |
NADSYNについてはRNAiやゲノム編集の手法を活用していく。他の点については、計画にそって検証をすすめる。
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Causes of Carryover |
・消耗品費が当初想定よりも僅かに少なくすんだため ・次年度の消耗品費に上積みし、より迅速な計画進捗をねらう。
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