2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of flexible multi-electrode arrays that can sneak into brain tissue with minimal invasion
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21K19423
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西川 淳 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (20392061)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 多点神経電極 / ソフトアクチュエータ / 導電性高分子 / CNT / 神経活動計測 / ブレイン・マシン・インターフェース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,損傷をなるべく与えずに神経活動を長期に安定して計測することが困難であるという脳活動計測技術における重要な課題を解決するために,有機エレクトロニクスを用いたソフトアクチュエータ技術と微細加工を用いたMEMS技術を統合し,柔らかいまま電極自身の蠕動運動によって脳組織に潜り込んでいくことができる全く新しいタイプの多点電極の開発を目指している. 1年目は,主に生理学実験の基礎的データの収集とソフトアクチュエータの材料選定および駆動特性評価実験を実施した.現時点までに行った実験の結果で,導電性高分子を用いたアクチュエータや,CNTを電極部に用いたソフトアクチュエータが有望であることが分かってきている.材料の検討は,柔軟材料上に塗布したアクチュエータ材料における,駆動電圧-変位量,駆動周波数-変位量,応答速度,耐久性能等について定量的に評価することにより実施した.特に,CNTを用いたソフトアクチュエータにおいて最大5 mm程度の運動を生じさせることが確認できた.さらに,これをベースにして複数のアクチュエータによる協調動作による蠕動運動を実現するために,選定した材料をインクジェットプリンティング等の方法を用いてパターニングして多数並べたデバイスを試作した.今後は,個々のチャンネルに様々な駆動電圧,駆動周波数,各チャンネルの位相遅れ,全体の時空間パターン等を印加し,その駆動動作をビデオカメラおよびレーザードップラー変位計を用いて計測し,駆動信号を最適化し,2年目の生理学実験による機能評価へと繋げていきたいと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定通りに進められているため.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目で提案デバイスの基本形が見えてきたため,2年目はこれをベースにして,駆動信号の最適化および生理実験による機能評価を進めて行く予定である. 具体的には,試作デバイスの個々のチャンネルに様々な駆動電圧,駆動周波数,各チャンネルの位相遅れ,全体の時空間パターン等を印加し,その駆動動作をビデオカメラおよびレーザードップラー変位計を用いて計測することで駆動信号を最適化し,理想的な蠕動運動を実現できる制御信号を決定する.空気中の試行から始めて,水溶液中,脳組織の硬さに調節したアガロースゲル,麻酔下の齧歯類の動物の脳組織へと,徐々に目的に近い状況でテストしていく.最後に,次に,作成したアクチュエータ部分とポリイミドを基材とした柔軟な多点電極配列部分と熱圧着により統合し,一つの複合デバイスとすることで完成させる. 完成した柔軟多点電極の電気刺激および神経活動計測の特性を評価するために,電気化学アナライザーを用いて,サイクリックボルタンメトリ(CV)計測および交流インピーダンス(EIS)計測を実施する.さらに,麻酔下および覚醒下の齧歯類(マウスおよびラット)の聴覚皮質へ柔軟多点電極を潜り込ませ,脳組織と安定して固定化されるか観察する.また,その際に神経活動計測および電気刺激も行い,生理実験において開発した柔軟多点電極の有効性を評価する.最後に,生理学実験による有効性の検証の仕上げとして,本手法を耳鳴りモデルマウスへ適用し,その耳鳴り症状を軽減できるかどうか検討する.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により参加学会がオンライン開催となったため,想定していた旅費を支出する必要がなくなったことと,研究に必要な消耗品費を想定よりも低く抑えることができたため,次年度使用額が生じた.
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Research Products
(2 results)