2021 Fiscal Year Research-status Report
Pathological mechanism of dementia caused by aging of brain immune system
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21K19432
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
田辺 章悟 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 神経薬理研究部, 室長 (40772166)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / 免疫老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病(Alzheimer’s disease: AD)は認知機能の低下を主徴とする進行性の神経変性疾患である。老人斑の蓄積、神経原線維変化、慢性的な炎症により脳が萎縮していくことが知られている。ADは世界中で最も患者数の多い神経変性疾患であり、65歳以上の7人に1人が罹患している。AD患者の多くは65歳以上であり、加齢が大きなリスクファクターであると考えられている。しかし、加齢がADの発症リスクとなる詳細な分子基盤は解明されていない。加齢に伴う身体的変化の1つとして免疫老化がある。免疫老化は加齢に伴って生体防御機能が低下する一方、慢性炎症や自己免疫などを引き起こす生命現象である。本研究課題では、老化した免疫系がADの病態形成に寄与している可能性を検証し、その分子メカニズムを解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、免疫系を老化させるとADモデルマウスの認知機能障害やが悪化することや老人斑の蓄積が促進することを見出している。また、免疫系を老化させたマウスの脳から遺伝子発現解析を実施し、病態に関連しうる細胞や遺伝子群を同定できたことからおおむね計画通りに進展できていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
老化した免疫系細胞における候補遺伝子がADの病態加速に関与していることをゲノム編集システムを用いて示す。培養した老化マウスの骨髄にCas9と候補遺伝子を欠損させるgRNAを導入し、骨髄細胞における候補遺伝子のゲノムを編集する。ゲノム編集された骨髄をADモデルマウスに移植し、ADの病態進行が抑制されるのかを行動学的に解析する。免疫系細胞における候補遺伝子の欠損により、老人斑の蓄積やシナプスの形態異常が抑制されるのかを組織学的解析で検証する。
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Causes of Carryover |
認知症を加速させる候補遺伝子と細胞の同定に想定より時間を要したため。今後、候補遺伝子の発現が免疫系細胞特異的に欠損したADモデルマウスを作製し、AD病態との関連を解析する。
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