2021 Fiscal Year Research-status Report
Ferroptosis imaging with PET: Challenge to assess vulnerability of atherosclerotic plaques
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21K19433
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 博宣 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (10570228)
小川 美香子 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (20344351)
横田 千晶 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (80300979)
水野 雄貴 北海道大学, アイソトープ総合センター, 助教 (90805194)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | フェロトーシス / PET / イメージング / 動脈硬化 / 不安定性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化病変の評価においては、早期治療を必要とする“破綻しやすいプラーク(不安定プラーク)”を的確に診断することが重要である。最近、鉄依存性酸化ストレスに起因するフェロトーシスと呼ばれる細胞死の様式が、動脈硬化の病態にも深く関与していることが報告された。本研究の目的は、フェロトーシス関連分子のPETイメージングにより、不安定プラークの診断が可能となるか検証することにある。 フェロトーシスの進行には、トランスフェリン受容体1 (TfR1) が深く関与することが知られている。令和3年度は、TfR1への高い結合親和性を有する直鎖ペプチド (DT7) を母体とした68Ga標識プローブ(68Ga-DT7)を合成し、in vitro実験条件下でTfR1イメージング剤としての有用性を評価した。その結果、68Ga-DT7は、TfR1特異的に集積したが、細胞集積量は十分ではなかった。そこで、細胞集積量の向上を目指してペプチドの多量体化や環状化などを実施したが、68Ga-DT7の細胞集積量を上回る誘導体の創成には至らなかった。 一方、不安定プラークにおけるフェロトーシスの関与をより多角的に評価するため、プラークにおける酸化ストレスを可視化できるプローブの合成と評価を開始した。合成した標識体は活性酸素種 (ROS)との反応によって錯体が崩壊し、酸化ストレスイメージング剤として機能する可能性が示された。 以上の検討結果から、TfR1への結合親和性がより高いリガンドの68Ga標識体を作製する必要性が示唆された。今後、cystine dense peptideの1種であるTfRB1G3の68Ga標識体を合成し、TfR1イメージング剤としての評価を行う。また、フェロトーシス関連分子のイメージングによる不安定プラークの多角的評価に向けて、酸化ストレスイメージング剤の開発も継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの進捗状況は、以下の通りである。 1)TfR1への高い結合親和性を有する直鎖ペプチド (DT7) を母体とした68Ga標識プローブを合成した。またTfR1への結合特異性の検証のため、TfR1高発現がん細胞株(T98G)への集積を評価した。その結果、68Ga-DT7はin vitro 実験条件下において、T98Gに対して TfR1特異的に集積することが示唆された。一方で、その集積量はやや低く、in vivo イメージングに応用するには集積量が不十分である可能性が考えられた。 2)TfR1特異的集積量の向上を目指してペプチドの多量体化及び環状化した68Ga標識DT7ペプチドを合成し、T98G細胞への取込み実験を実施したが、これらのT98G細胞への集積量は68Ga-DT7の細胞集積量より低かった。 3)不安定プラークにおけるフェロトーシスの関与をより多角的に評価するため、プラークにおける酸化ストレスを可視化できるプローブの開発を併せて実施した。ある種のCu(I)錯体は、活性酸素種 (ROS) によって酸化されることで、錯体が崩壊すると考えられる。そこで、複数のCu(I)錯体の64Cu標識体を合成し、これらの錯体をROSと反応させた。その結果、合成した64Cu標識錯体はROSとの反応によって錯体が崩壊し、酸化ストレスイメージング剤として機能する可能性が示された。 以上のように、TfR1イメージング剤として68Ga-DT7の使用を予定していたが、TfR1への親和性が想定よりも低く、新たな候補化合物の合成が必要となったため、「進捗がやや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の検討結果から、TfR1への結合親和性がより高いリガンドの68Ga標識体を作製する必要性が示された。そこで令和4年度は、cystine dense peptideの1種であるTfRB1G3の68Ga標識体を合成し、TfR1イメージング剤としての評価を行う。TfRB1G3は、トランスフェリンよりも優れたTfR1結合親和性を有することが報告されており、DT7に比べより優れたTfR1リガンドとなることが期待できる。 また、酸化ストレスイメージング剤の開発については、今年度の検討から見出した64Cu標識錯体のin vitro における評価を引き続き実施する。最終的には、TfR1イメージング剤と酸化ストレスイメージング剤を組み合わせることで、不安定プラークの性状をより多角的に評価することを目指す。
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Research Products
(4 results)