2021 Fiscal Year Research-status Report
超高線量率陽子線治療に適したリアルタイム飛程検出法の開発
Project/Area Number |
21K19434
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松浦 妙子 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90590266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 創大 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, 研究員 (00826092)
富岡 智 北海道大学, 工学研究院, 教授 (40237110)
橋本 孝之 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (60400678)
栗山 靖敏 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (60423125)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 陽子線飛程検証 |
Outline of Annual Research Achievements |
FLASH放射線治療は,通常の放射線治療の線量率の数百倍から数千倍高い線量率(40 Gy/s程度以上)を用いる超高線量率照射法である。抗腫瘍効果を変えずに正常組織の障害発生を顕著に抑制できることが知られており,これまでの治療様式を大きく変えるインパクトがある.本研究では,数年以内に臨床利用が期待される超高線量率陽子線治療に適用する心電図検査式リアルタイム飛程検出法の実用化に向けた基盤技術開発を行うことを目標とした研究開発を行っている.本年度はまず,シミュレーション検討に用いるためにCT及び超音波の両方のイメージングに対応した人体ファントムを選定し(Model 057A,CIRS社製),音波伝搬シミュレーションの構築を開始した.まず人体ファントムを陽子線治療計画用のCT装置で撮影し,各ボクセルのCT値に対して陽子線治療に用いられているCT-相対阻止能テーブルを用いて水密度を割り当て,モンテカルロシミュレーションによって陽子線線量分布を計算した.一方で,音波発生・伝搬シミュレーションの準備として,文献を参照しながら各ボクセルに対してCT値に応じた音響特性(音速や音響インピーダンス,グルネイセン係数など)を割り当てた.人体ファントムに対して,FLASH線量率で陽子線を照射し,これを音源とした音波伝搬をシミュレーションした.音波は体表面に配置した複数のセンサーで受信する設定とした.本年度はまた,次年度予定している陽子線照射実験に用いる予定の寒天をベースとしたファントムの構造と形状の検討を行い,試作を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では今年度陽子線照射実験を開始する予定であったが,新型コロナ感染症の影響によって遅れている.一方で来年度に予定していた人体ファントムに対するシミュレーション構築を先行して行ったため,研究全体としての遅れは生じていないと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は本年度に試作した寒天ファントムに対する陽子線照射実験を行い,ファントム表面の複数位置に置かれた計測器でイオン音響波の同時計測を行う予定である.当初は3点以上の同時計測を行う予定であったが,データロガーの性能を検討したところ2点以上の同時計測は困難であると判明したため,繰返し測定で対処する予定である.得られた信号から飛程を同定する方法を複数検討し,より予測精度の高い手法について検討していく.また,本年度開発を開始した音波伝搬シミュレーションの検証をさらに進め,人体ファントム中に対する飛程計測方法の検討を行う.
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Causes of Carryover |
上述のように当初の予定では今年度陽子線照射実験を開始する予定であったが,新型コロナ感染症の影響によって遅れたため,学内で実施できるシミュレーションを先行して行った.次年度は実験に関する出張旅費として使用する予定である.
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Research Products
(3 results)