2021 Fiscal Year Research-status Report
Pathophysiological role of organelle contact site in tubular homeostasis
Project/Area Number |
21K19439
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲城 玲子 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (50232509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 陽亮 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10780736)
長谷川 頌 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30892658)
南学 正臣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90311620)
西 裕志 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90784174)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | オルガネラストレス / 尿細管上皮細胞 / 尿細管障害 / オルガネラコンタクトサイト / 代謝リプログラミング / 脂肪毒性 / オルガネラ間相互作用 / リゾリン脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病(CKD)の主要リスク因子の一つである糖尿病の新規治療薬(血糖コントロールを目標とした新薬)は、糖/脂質代謝リプログラミングを伴う臓器保護効果を示すものが散見される。このことからエネルギー代謝制御を司るオルガネラ機能、特にオルガネラ間相互作用を病態生理学的に理解することは新たな細胞機能恒常性のメカニズム、その破綻による新規病因論の解明、ひいては革新的創薬標的分子の同定に繋がる。 そこで本研究は、オルガネラ研究の中でもオルガネラコンタクトサイト、特にmitochondria-associated membrane (MAM) に着目し、それらの腎臓における分子構造や生理活性、腎臓細胞障害(代謝変動、炎症・線維化)との関連性などを分子レベルで解明し、腎臓病学に新たな展開をもたらすことを目標とした。 我々はこれまでに、糖尿病性腎臓病(DKD)の患者、及びDKDモデルラットの血漿・尿検体の網羅的メタボローム解析からDKD進行のバイオマーカーとしてリゾリン脂質を見いだした。そこで、リゾリン脂質とその代謝経路の腎臓細胞における病態生理学的活性を詳細に解析したところ、リゾリン脂質の腎臓内蓄積(尿細管間質領域での蓄積がDKD病態レベルと正の相関を示す)が尿細管細胞におけるMAMの形成を低下させる事、それがエネルギー代謝変動、特に脂質代謝を伴う小胞体、ミトコンドリアストレスから起因する可能性を見いだされた。 オルガネラ研究の発展は、小胞体やミトコンドリアから見る各種疾患の病因論、特に代謝リプログラミングを伴う炎症・線維化の分子機序解明に寄与してきた。しかし上述のようにオルガネラ間相互作用、オルガネラコンタクトサイトから見る尿細管細胞恒常性、あるいは病態形成メカニズムを理解することで新たなオルガネラ研究の基盤構築、それに基づく革新的な腎臓病病因論の解明が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、尿細管上皮細胞の機能恒常性が破綻する機序のなかに、オルガネラストレス、それに伴うオルガネラ間相互作用、特にオルガネラコンタクトサイト(mitochondria-associated membrane:MAM) の形成低下が関与する可能性を見いだされた。 具体的に、DKD進行早期に尿細管細胞内に蓄積してくるリゾリン脂質は、小胞体ストレス、ミトコンドリアストレスを惹起し、尿細管細胞死を招く。その際、オルガネラストレスのみならず、オルガネラコンタクトサイトの形成低下も認められ、それが尿細管機能恒常性破綻に関与する事が示唆された。 これら成果に基づいて、尿細管上皮細胞のオルガネラストレスがオルガネラ間相互作用をいかに破綻させるか、特に尿細管上皮細胞機能恒常性がオルガネラコンタクトサイトを介して破綻する分子メカニズムを解明する糸口が見つけられた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、DKDの進行に伴って障害を受けた尿細管細胞内に蓄積してくるリゾリン脂質が、小胞体ストレスや、ミトコンドリアストレスといったオルガネラストレスを惹起し、脂肪代謝破綻を伴って尿細管細胞死を招くことを明らかにした。その際、小胞体やミトコンドリアなどのオルガネラストレスのみならず、オルガネラコンタクトサイト(mitochondria-associated membrane:MAM)の形成低下も認められ、それが尿細管機能恒常性破綻に関与する事が示唆された。 これら成果に基づいて、尿細管上皮細胞におけるオルガネラストレスがオルガネラ間相互作用、特にオルガネラコンタクトサイトをいかに破綻させるかを解析し、尿細管上皮細胞機能恒常性とオルガネラコンタクトサイトの病態生理学的関連性の解明を目指す。 MAMの複合体形成の多様性が機能と深く繋がっていることが推測されるが、その詳細を解明することが難しい際は、尿細管障害時の一次繊毛とミトコンドリア間相互作用の破綻に関与することが示されている一次繊毛内モーター蛋白結合複合体などが他のオルガネラ間相互作用に関与するか否かを検討する。
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Research Products
(20 results)