2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on control of viral infection by manipulation of OAS1-RNaseL axis
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21K19440
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森尾 友宏 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30239628)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | OAS1 / RNase / SARS-CoV-2 / type I Interferon / LgBiT |
Outline of Annual Research Achievements |
THP-1細胞株(ヒト単球性白血病細胞由来)については、IFN応答性の検証を終えた。使用予定の2種類の細胞株、A549(ヒト肺胞基底上皮腺癌細胞由来)、 HT1080(ヒト線維肉腫細胞由来)、を用いてtype I IFN誘導性にOAS1, RNaseLの発現が確認されるかについて予備実験を行った。次いで、A549細胞及びTHP-1細胞を用い、CRISPR/Cas9にてOAS1にHiBiTをtaggingすることにより、発現をLgBiTで検出するシステムの構築に向けて、コンストラクトの作成を開始した。またOAS1発現誘導/抑制機構については、公的データベースから得た情報をもとに、発現調節に関わる領域及び会合する転写因子候補についての情報を取得した。 また、ヒトと齧歯類、ネズミ目ではPolyICあるいはIFN刺激後のOAS1の発現の差異(ヒトでは著しく減弱)があることから、異なる細胞腫からの細胞株を用いての比較検討を開始した。そのために、コウモリ肺由来線維芽細胞株TB1 Lu (NBL-12)を入手した。本細胞株についてはまずOAS, RNaseLの遺伝子配列解析を確認すると共に、OAS1抗体、RNaseL抗体がそれぞれworkするかどうかの検討を開始した。 さらに今後、単球、マクロファージ、樹状細胞(DC)における検討が重要と考え、TB1 Lu (NBL-12)からiPS細胞を樹立するべく、検討を開始している。現時点ではsmall cluster形成が認められるものの、形態上はiPS細胞とは乖離があり、導入遺伝子等を含めた最適化を図っているところである。 OAS1活性を測定するbioassay系については、未刺激及び刺激初期のバックグラウンドを低減するための条件調整を行った。また高感度rRNA degradationアッセイを確立し、検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OAS1の発現誘導/抑制機構については、公的データベースから得た情報をもとに、発現調節に関わる領域及び会合する転写因子候補についての絞り込みが完了し、今後ハイスループットな手法で同定する準備が整った。 本研究ではまた、OAS1によりどの程度のRNAseL活性が誘導されるか、誘導されたRNAseLによる感染細胞、bystander細胞への影響について検討を行うことを目的としている。この検証のために用いるヒト細胞(3種類)及びコウモリ由来では、基礎的な特性解析をほぼ終了するところである。タグつきコンストラクトも完成予定であるが、OAS1タンパクは様々な方法にて、比較的高感度で検出できることも確認しつつある。 高感度RNaseL活性の測定系については既に確立しており、それぞれの細胞株で検討が可能な状態となっている。また、さらにコウモリの単球系、DC系での解析(発現調節解析を含む)を行うためには、適切な細胞株が必要と考えており、iPS細胞の樹立に向けて検討を開始したことは、新たな展開として重要なステップと考えている。iPS細胞から、単球、DCへの分化させる手法については本研究室で大きな実績がある。挑戦的な試みであるが、次年度以降に同細胞が樹立されることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
OAS1の発現機構やRNaseL発現による細胞への影響(毒性)については、まだ十分に明らかになっていない。発現誘導、発現抑制機構については、正常細胞における転写調節機構に関する基本的データを本研究期間内に明らかにしていきたい。公的データベースでの情報が豊富になっていることもあり、転写調節部位への会合分子をdry, wetの両実験を補完的に用いて探索・同定する予定である。またOAS1発現の検討では、HiBiT/LgBiTシステムのみに頼らず、感度の高い方法を導入する予定である。 単球、マクロファージ、DCを用いたヒト、齧歯目、コウモリ目間でのOAS1-RNaseL axis解析や、翻訳停止-細胞死解析は殆どない状況にある。本検討においては、細胞株では限界があるものの、特にヒト、齧歯目、コウモリで比較検討することが重要と考えている。 長期的な戦略として、より高精度かつ有用なデータを得るために、コウモリ目細胞株からのiPS細胞樹立を重要な課題としたい。ヒト及びマウスでは正常iPS細胞を既に樹立している。これらから誘導した単球やDCなどでの検討を実現するために、優先度高く取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
1月31日に、萌芽的研究における様々な実験に汎用する10μl ロングフィルターチップ(PP製ラック)、2月24日に単球/マクロファージ系刺激に用いるFlt3-Ligand, Human, Recombinant Animal Freeを発注し、共に納入予定であったが、国際情勢等により、期限内の入手が行えなかった。1月~3月は、チップは代用品を借用して実施し、また後者の実験は年度内には実施出来なかったため、2022年度に繰り越しでの使用をご許可いただきたい。
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Research Products
(2 results)