2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞老化から解く、真のTDP-43プロテイノパチー分子機構への挑戦
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21K19442
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
加藤 泰介 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (30598496)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | TDP-43プロテイノパチー / DNA損傷 / 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
核内タンパク質であるTDP-43が細胞質内で封入体を形成するTDP-43プロテイノパチーは、前頭側頭葉変性症 (FTLD-TDP)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を始めとする多様な疾患群で認められるが、これら疾患は全て、中年期以降の一定年齢を超えて発症することから加齢の関与が強く疑われている。In vitroで細胞は老化し、細胞老化を誘導する方法にはいくつかの手法はあるが、いずれにおいても主要な要因はDNA損傷である。従来考えられていたよりもはるかに細胞老化が個体老化に関与することが近年、明らかとなりつつある。本研究は、人為的なDNA損傷誘導性の細胞老化細胞において見出されたTDP-43封入体の形成機構を明らかとすることによって、細胞老化に起因するTDP-43プロテイノパチーの分子機構に迫ることを目的とする。 昨年度は、TDP-43封入体をもっとも効率よく誘導する細胞老化誘導法について検討するため、放射線照射法、DNA損傷誘導薬、細胞増殖老化による異なるプロセスを用いて細胞老化を誘導し、各手法におけるTDP-43封入体形成率の比較を行った。その結果、増殖限界を利用した細胞増殖誘導性の老化細胞ではTDP-43封入体が形成されず、放射線照射法とDNA損傷誘導薬を利用した、人為的DNA損傷による強制的な細胞老化誘導法においてTDP-43封入体が形成されうることを見出した。放射線照射法とDNA損傷誘導薬を比較した場合では、放射線照射法によるDNA損傷のほうが、より高効率にTDP-43封入体形成細胞を誘導することを突き止めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞質におけるTDP-43封入体形成のシードを同定するための最適な細胞モデルとして、放射線照射誘導性の老化細胞を同定した。興味深いことに、増殖限界を利用した細胞増殖誘導性の老化細胞ではTDP-43封入体の形成が見られなかった。この結果の違いは、細胞老化を誘導する手法やプロセスの違いによって、TDP-43封入体形成シードが誘導されるか否かが決定されている可能性があり、モデル間の比較によってシードの特定の感度が上昇する可能性がある。 加えて、TDP-43と2本鎖DNAに対する抗体を用いた2重染色解析の結果、TDP-43封入体は高頻度に細胞質漏出と考えられる2本鎖DNAと共局在することを突き止めた。これは、想定したように細胞質核酸がTDP-43封入体の形成に関与していることを示唆していた。 近年、同様の放射線照射によるDNA切断損傷が誘導する老化細胞において、細胞質に染色体由来のサテライト配列DNAの漏出が起こっていることが示されており、網羅的なシード検索に先んじて、この現象の再現性を確認するための分画サンプルの調整を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
老化細胞における染色体サテライト配列の細胞質漏出の確認が取れた場合、既報の配列情報を用いたサテライト配列の検出とTDP-43封入体の同時検出を実施し、両者の細胞内局在性の関連について解析を実施する。また、網羅的解析に向けた、細胞質内核酸種のクローニング手法についても既報の手法を応用し、実験系の確立を進める。細胞質核酸のクローニング法が確立したのち、次世代シーケンサーによる網羅的な配列決定による核酸種の特定を実施する。
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Causes of Carryover |
本年度は、本研究の基盤となる、細胞老化によるTDP-43プロテイノパチーを最も効率よく生じる、細胞老化誘導法の探索にあてたため。 確立したモデルを解析するために必要とする予算を次年度以降に使用する。次年度以降、質量分析やトランスクリプトーム解析などの単体の額が大きな解析を実施していく。
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