2021 Fiscal Year Research-status Report
多面的癌制御でBNCTの効果を飛躍的向上に導く薬剤の基礎的研究
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21K19449
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福光 延吉 神戸大学, 医学研究科, 客員准教授 (40277075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤 智裕 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30284756)
松本 孔貴 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70510395)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | BNCT / DDS / ホウ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
SMA-グルコサミン-ホウ酸複合体(SGB)の安全性と癌細胞集積性について評価した。安全性では、繊維芽細胞を用いて毒性評価試験を行った。10B 濃度を段階的に変化させたSGB溶液に培養した細胞をマルチプレートリーダーで解析した。その後、WSTアッセイで細胞の生存率を求め、IC50値を算出した。安全性については既存のホウ素化合物BPAと同等で安全性については問題ないと判断した。次に、細胞集積性について評価した。従来からBNCTの治療対象とされてきた脳腫瘍(U87-MG)、頭頚部扁平上皮癌(SAS)、メラノーマ(A375)の細胞を用いて培養することで難治癌のモデルを作成した。難治癌のモデルの作成方法は、BrdU投与後分離させて静止期細胞を回収することで難治癌のモデルとした。現段階ではまだ研究途中の段階であるが今後詳細な評価を進める予定である。SGBが安全に用いられることが判明し今後の非臨床研究の進展に大きな期待ができた。ホウ素中性子捕捉療法で使用されるナノ粒子はEPR効果を応用しているため、長時間生体内に存在し続けて作用するよう設計されている。従って分子量を大きく、体内存続時間も長い。今までにも多くのホウ素中性子捕捉療法用のナノ粒子が開発されてきたが、過去に開発されたホウ素ナノ粒子は安全性の面でクリアできない課題が多く臨床応用に進むことができなかった。しかし、安全性の問題をクリアできることで、非臨床から臨床研究へつなげられる可能性が見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験室の移動の負担が大きかったこととマシンタイムにあまり余裕がなかったことが遅れている原因である
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りに進めていく。すなわち、従来からBNCTの治療適応癌腫と、今後、新たにBNCTの適応になると期待される癌腫によるホウ素集積性の評価、嫌気的解糖系阻害作用、小胞体ストレス量の評価、抗腫瘍効果の評価を行っていく。
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Causes of Carryover |
研究の遂行の遅延のため次年度分にもちこした。実験室の整備をおおむね完了しているため、当初の計画を完了できるよう研究を進める。
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