2022 Fiscal Year Annual Research Report
Energy metabolism and disease sensitivity determined by body temperature: Lessons from hibernation
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21K19481
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳田 素子 京都大学, 医学研究科, 教授 (70378769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 武 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60251055)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれ恒温動物の体温は一定範囲内で維持されるべく調節されており、その制御は生体内の恒常性維持においても極めて重要である。その一方、医療現場では人為的な低体温療法が臓器保護に有効であることが示されているが、そのメカニズムは明らかでない。 アデノシン三リン酸(ATP)は全ての生物に共通する「エネルギー通貨」である。応募者らは生体内のATPの動態に注目し、ATPのFRETバイオセンサーをR26遺伝子座にノックインしたマウスを用いて、全身における細胞内ATP動態のリアルタイムの可視化を1細胞レベルで可能にした。同マウスと2光子顕微鏡を用いて腎障害におけるエネルギー動態を観察したところ、腎臓の虚血とともに近位尿細管のATPが速やかに低下し、再灌流とともに回復すること、再灌流時のATPの回復速度は慢性期の線維化と逆相関すること、当該マウスを軽度の低体温(33度)にすると、ATPの回復度が改善し、慢性期の線維化も顕著に抑制されることを見出した(柳田らJ Am Soc Nephrol 2020)。この結果は、体温に応じて障害に伴うATP動態やその予後が左右されることを示している。 本申請ではこの解析を発展させ、分担研究者である櫻井武教授らによって本年報告された顕著な低体温と制御された低代謝を誘導できる「人工冬眠モデル」と前述のATP可視化マウスを用いて、体温と組織のエネルギー動態、障害感受性の関係性を検証するものである。本申請では、R3年度に「人工冬眠状態」におけるエネルギー代謝と腎生理機能の評価を行い、R4年度に「人工冬眠状態」が組織障害・修復とエネルギー動態に与える影響の評価を行った。加えて腎スライス培養を用いたATP可視化マウスと腎スライス培養を用いて腎臓の全域のATP動態の可視化を可能にし、各種代謝経路遮断薬を投与することで、腎臓の構成細胞群のエネルギー代謝経路を明らかにした。
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