2022 Fiscal Year Research-status Report
A study of drug repurposing of oncolytic virus for idiopathic pulmonary fibrosis
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21K19483
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
櫻井 文教 大阪大学, 大学院薬学研究科, 准教授 (70370939)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 線維化 / TGF-b / レオウイルス / 二本鎖RNA / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、抗癌剤として臨床開発中の腫瘍溶解性ウイルス製剤(癌細胞特異的に感染して癌細胞を死滅させるウイルス)であるレオウイルスを、指定難病である特発性肺線維症の治療薬として開発することである。本年度はブレオマイシン誘導性の肺線維化モデルマウスにレオウイルスを静脈内投与し、脱線維化効果を検討した。その結果、肺線維化マウスにおいてalpah-smooth muscle actinや1型コラーゲンなどの線維化マーカーの低下傾向は観察されたものの、統計的な有意差は得られなかった。これは、レオウイルスの肺への集積性が低いためであると考えられた。なお、マウスに対する顕著な毒性は観察されなかった。 次に、TGF-b処理により活性化させたヒト皮膚由来線維芽細胞やヒト肝星細胞株を用いて、レオウイルスならびに二本鎖RNAの脱線維化効果を評価した。その結果、レオウイルスおよび二本鎖RNAにより線維化マーカーの発現低下が観察された。さらにRNA-seqにより、レオウイルス作用後の遺伝子発現変動を網羅的に解析した。また、種々の細胞側因子をsiRNAを用いてノックダウンした細胞、もしくはノックアウトマウス由来初代培養細胞を用いて検討したところ、細胞種、レオウイルス、二本鎖RNAの違いによって脱線維化効果誘導メカニズムが異なる可能性が示された。さらに脱線維化効果に1型インターフェロンなどのサイトカインが関与しないことを示唆するデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、ブレオマイシン誘導性の肺線維化マウスではレオウイルスによる顕著な脱線維化効果は観察されていないが、培養細胞を用いた検討では脱線維化効果が観察されており、またそのメカニズムについても興味深い結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、遺伝子改変レオウイルスもしくはリポソームやエクソソームなどを利用して、製剤 化したレオウイルスを用いて肺線維化マウスの治療を試みる。またレオウイルスの脱線維化効果のメカニズム解明に関して培養細胞を用いた検討を進める。
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Causes of Carryover |
従来のレオウイルスを用いた肺線維化マウスの治療実験が予定通り進まなかったために、実験に使用したマウスの数が予定よりも少なくなった。来年度は、改良型レオウイルスを用いた治療実験を進める予定である。
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Research Products
(4 results)