2021 Fiscal Year Research-status Report
Reproduction of kidney glomerulus structure and function using human iPS cells-derived organoid and vascular chip
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21K19487
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
西山 功一 宮崎大学, 医学部, 教授 (80398221)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | ヒトiPS細胞 / 腎臓オルガノイド / 微小流体デバイス / 血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病は、様々な疾患死亡のリスク因子であり、国民の生命と健康の維持そして逼迫する我が国の医療経済のため克服すべき重大な課題である。本研究では、ヒト腎オルガノイドを血管化・灌流し高次糸球体構造と濾過機能を生体外で再現する、これまで実現されていない培養システムの開発、さらに、同システムを用いて、血管化・灌流を受けて高次糸球体構造が形成され機能を獲得し維持されるしくみを明らかにすることを目指した。 令和3年度において、まず、ヒトiPS由来腎臓前駆細胞のスフィアから腎臓オルガノイドを誘導する方法を、マウス胎仔神経管との共培養により発生誘導をかける方法から、CHIRによる分化誘導法に変更し、その方法論的確立を行った。また、これまで、気液界面培養にて、腎糸球体発生とオルガノイド内血管網形成を進めた後に回転浮遊培養に移行すると、糸球体血管化が誘導される予備的知見を得ていた。したがって、その最適な移行タイミング、ならびに、内皮細胞にて血管灌流が可能な自己組織化血管網を構築した微小流体デバイス(血管灌流チップ)にオルガノイドを移植するタイミングの最適条件を検討した。その結果、CHIRで発生誘導後のオルガノイドを、気液界面培養にて7日程度さらに発生を進め、回転培養でさらに1週間培養すると、最も糸球体内に血管が侵入することがわかった。しかし、その後、同オルガノイドを血管灌流チップに導入し、血管化・灌流培養を行ったが、灌流により糸球体内への血管の侵入は促進されるものの、灌流培養7日後においても、糸球体濾過装置を形成する血管化され成熟した糸球体を誘導できる条件は見出せなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は、令和3年4月に、熊本大学から宮崎大学に異動し、新たなラボを立ち上げた。研究スタッフも全て刷新されたため、ヒトiPS細胞、腎臓オルガノイド誘導法および血管灌流チップ作成法等の新規ラボへの導入・セットアップに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
気液界面培養から回転浮遊培養への移行タイミング、および、回転培養から血管灌流チップへの導入タイミングの最適化のみでは、オルガノイド腎糸球体への血管化誘導と糸球体成熟化には限界がある。今後は、他の重要な因子と予想してきた1.血管および血管外環境因子と、2.培地内酸素分圧の制御による、腎糸球体血管化、成熟化の誘導促進を図る。特に前者においては、血管内皮細胞を被覆して、血管形成の重要なサポート役であるペリサイトを中心に検討を進める。また、当初計画には組み込んでいなかったが、血管内皮細胞の未熟化、活性化を誘導し、血管新生能を亢進させることが期待される転写因子Etv2をレンチウイルスで遺伝子導入した内皮細胞を用いて血管灌流チップを作成し、その効果を検討する。加えて、同内皮細胞を腎臓前駆細胞にあらかじめ混合しておき、CHIRで腎臓発生を誘導することで、糸球体血管化が促進されるか検討する。
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Causes of Carryover |
研究代表者が、熊本大学から宮崎大学に異動したため、新たな研究室セットアップと同研究技術の移管に時間を要し、当初計画した本研究計画に遅れを生じたため。
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