2022 Fiscal Year Research-status Report
Construction of high-throughput drug discovery screening system using bile duct organoids and fluid devices
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21K19490
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
紙谷 聡英 東海大学, 医学部, 准教授 (30321904)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 肝のう胞 / 流体デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、肝疾患のメカニズム解析・創薬スクリーニングに向けて、ヒトiPS細胞から肝臓組織への分化誘導系を駆使した次の研究項目を推進する。 1.自己凝集能を用いたヒトiPS細胞由来肝組織の形成法の確立 2.多発肝のう胞症を模倣する疾患ヒトiPS細胞由来肝組織系の構築 3.PDMS流体デバイスを用いた、ハイスループット評価システムの作製 1に関しては、ヒトiPS細胞から持続増殖可能な肝前駆細胞を誘導し、凍結保存や長期増殖、また必要に応じて成熟肝細胞へ分化誘導が可能な細胞を単離した。この細胞を用いることで、平面や細胞外マトリクス包埋培養によって肝の組織化が可能な条件を検討している。2に関しては、共同研究者が行っている多発肝のう胞のヒト疾患患者のゲノムシークエンス結果から、新規の多発肝のう胞発症に関わる制御因子の候補を探索している。これらの因子を解析する系として、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いてin vitroでヒトiPS細胞由来肝前駆細胞・肝細胞でゲノム編集を誘導する系を構築した。AAVにCas9タンパク質と対象となる遺伝子に対するgRNAを導入することで、効率的なin-del変異が誘導可能である。さらにCsa9を発現するプロモーターを工夫することで、細胞特異的なゲノム編集が可能となる。3に関しては、1,2の結果をもとにデバイスの作成などを進めており、肝臓の自己凝集を効率的に行うデバイスなどを解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトiPS細胞を使った疾患解析系としては、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞、肝細胞培養系の樹立や3次元培養系、さらにAAVを用いて、in vitroで効率的にゲノム編集を誘導できる系を立ち上げている。今後、共同研究先が同定した新規ヒト肝のう胞疾患関連因子のゲノム編集などを予定しており、今まで不明だった新規の作用機序などの解明を期待している。一方で、流体デバイスに関しては、上記の細胞系の研究を先行させたために一部遅れている部分がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.AAVを用いた新規in vitroゲノム編集系を用いて、培養系において多発肝のう胞を誘導できるような新規因子の同定を目指す。 2.上記のヒトiPS由来肝細胞系・胆管細胞系を効率的に培養可能な流体デバイスの開発を推進する。
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Causes of Carryover |
研究の推進において、2021年度が新型コロナウイルスの感染などで一部遂行できないことがあり、その余剰金が現在も発生している。2023年度に関しては、研究補助などへの支出や試薬の効率化などを含めて、一つ一つの実験にかかる手間を減らすことで、研究を加速させる。
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