2022 Fiscal Year Annual Research Report
造血器腫瘍の治療および予防に資する代謝物探索システムの構築
Project/Area Number |
21K19502
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平尾 敦 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (90343350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 将夫 金沢大学, 薬学系, 教授 (30251440)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、造血器腫瘍モデルを研究対象とし、メタボロミクスによる代謝物の網羅的探索法の確立、代謝物の機能解析法の確立を進め、「造血器腫瘍の治療および予防に資する代謝物探索システムの構築」を目指した。 昨年に引き続き、造血器腫瘍モデルとして様々な骨髄球系白血病モデルを作成した。それらに対して高脂肪食を負荷することによって血液異常が変動するかどうか検討を行ったところ、高脂肪食により顕著にMyeloid前駆細胞の増加が認められる病態を同定することに成功した。一方、Notch駆動型T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)モデルの作成と栄養シグナルの関与についても検討を行った。本年度は、本モデルにおいては、Mechanistic target of rapamycin (mTOR)が重要な役割を果たしていることを見いだし、今後、食餌による変化についての解析を試みる価値があると判断した。 メタボロミクスに関しては、アンターゲットメタボロミクスにて同定した代謝物Aは、高脂肪食のみならず、食物繊維の有無および絶食により、大きく変動することが判明し、食餌による代謝変動を追跡するための有用なバイオマーカーとなることを見いだした。また、同様に食物繊維によって変動する代謝物Bに関しては、造血幹細胞のin vitro培養において添加すると、細胞周期停止を誘導し、また移植能の亢進作用を示すことを見いだし、機能的にも重要な役割を果たすことが示唆された。これ以外にも食餌変化で顕著な変化を示す代謝物複数が観察されたため、今後、様々な造血器腫瘍モデルにおいて、病態把握におけるバイオマーカーや治療介入のシーズとして有用ではないかと考えられた。以上のように、本プロジェクトにおいて、造血器腫瘍の治療および予防に資する代謝物探索システムの構築において有益な知見を得ることができた。
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Research Products
(6 results)