2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K19508
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
保仙 直毅 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10456923)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | CAR-NK細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
CAR(キメラ抗原受容体)とはがん特異的な抗体の抗原認識部位とT細胞活性化分子とを融合した人工的な受容体で、CARを遺伝子導入により発現させたCAR-T細胞はがん特異的抗原を認識すると活性化し、がん細胞を傷害するとともに激しく増殖する。B細胞性白血病/悪性リンパ腫に対するCD19を標的としたCAR-T細胞は驚くべき臨床効果を示した。申請者らは多発性骨髄腫においてインテグリンbeta7が恒常的に活性化していることを発見し、活性型インテグリンbeta 7を特異的に認識するCAR-T細胞が高い抗骨髄腫活性を持つことを示した (Hosen N et al. Nature Medicine, 2017)。CAR-T細胞に関する一つの大きな問題は、患者毎に自己のT細胞から作る必要があり、コストが莫大であることである。一方、HLAに拘束されない細胞傷害性細胞であるNK細胞であれば、アロのドナーから多数の患者用の細胞が作れる可能性があると考えられる。実際、臍帯血から誘導したCAR-NK細胞の有効性が最近報告された。しかし、既報のCAR-NK細胞は、実際には非常にheterogeneousな“NK-like cell”集団であると考えられる。そこで、本研究においては、まず、上述の活性型インテグリンbeta 7を標的としたCARをヒト臍帯血単核球に導入し、既報(N Engl J Med, 382, 545-553, 2020)に従いCAR-NK細胞の作製を行い、in vitroでの抗腫瘍効果を確認した。さらに、CAR-NK細胞のheterogeneityの解析の為single cell RNA seq解析を行った。その結果を現在待っている段階である。また、in vivoでの効果の検討にも取り掛かっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性型インテグリンbeta 7を標的としたCARをヒト臍帯血単核球に導入し、既報(N Engl J Med, 382, 545-553, 2020)に従いCAR-NK細胞の作製を行い、in vitroでの抗腫瘍効果を確認した。さらに、CAR-NK細胞のheterogeneityの解析の為single cell RNA seq解析を行った。計画書に記載した予定通りの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
Single cell RNA seqの結果から、元々どのような細胞集団があって、それぞれの細胞集団から拡大培養後にどのような細胞集団が生まれているのかを明らかにする。そして、様々な細胞亜集団由来のCAR-NK細胞を作製し、最も高い抗腫瘍効果が得られるものを同定する。そしてその結果から、抗腫瘍活性の高いNK細胞亜集団の前駆細胞に多く発現している受容体、特にサイトカイン受容体を明らかにする。そして、それらのサイトカインの組み合わせにより、目的とするCAR-NK細胞亜集団を効率的に誘導できる培養法を確立する。また、当該細胞集団で特に活性化しているあるいはしていないsignaling pathwayを明らかにする。そして、それらのpathwayを活性化あるいは阻害しうる薬剤を培養液中に添加することにより、目的とするCAR-NK細胞亜集団を効率的に誘導できないかを検討する。
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