2022 Fiscal Year Annual Research Report
IL-17産生γδ型T細胞を制御する新規癌免疫療法の創生を目指した基礎的研究
Project/Area Number |
21K19518
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
調 憲 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70264025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 俊樹 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20346852)
塚越 真梨子 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60781317)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | IL-17産生γδ型T細胞 / Vγ6γδ型T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、腫瘍免疫応答におけるIL-17産生γδ型T細胞の役割を解明し、さらに活性化CD8T細胞への影響まで明らかにすることにより、それらを制御する新規癌免疫療法の開発を目指し研究をすすめてきた。 昨年までに抗原特異的CD8T細胞を詳細に解析するためのモデルとしてOT-Iマウスを用いたマウス腫瘍モデルの確立を行った。それに引き続き本年はまず通常の皮下腫瘍接種モデルでIL-17産生γδ型T細胞の役割を解明するための実験を行った。C57BL/6マウスにγδ型T細胞を除去するためUC-7(抗γδ抗体)、IL-17産生γδ型T細胞のみ除去するため1C10-1F7(抗Vγ6抗体)またはコントロール抗体を投与後、腫瘍を皮下接種し腫瘍体積を測定したが3群間で差を認めなかった。 そこで、腫瘍を経静脈的に投与をする肺転移モデルで同様の検討を行った。肺転移モデルの腫瘍としてB16F10(メラノーマ細胞株)と肺癌細胞株(3LL)を用いた。抗γδ抗体、抗Vγ6抗体またはコントロール抗体を投与した後、経静脈的に腫瘍を投与し14日目に肺転移結節数を評価した。コントロール群と比較しγδ型T細胞除去群またはIL-17産生γδ型T細胞除去群でそれぞれ同程度に腫瘍結節数の減少を認めた。 このモデルでIL-17産生γδ型T細胞除去による抗腫瘍効果のメカニズムを解明するため免疫染色を行った。腫瘍周囲のCD8T細胞、CD4T細胞、Foxp3陽性細胞をそれぞれ評価すると、CD8T細胞数がγδ型T細胞除去群またはIL-17産生γδ型T細胞除去群でコントロール群と比較し有意に増加していた。CD4T細胞除去では有意な差はなかった。 これらのことからIL-17産生(Vγ6)γδ型T細胞は、肺転移モデルにおいて免疫を抑制する役割を担い、特にCD8T細胞の活性化を抑制している可能性が示唆された。
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