2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of Glycan Structures of Immune Checkpoint Molecules and Challenges for Personalized Therapy
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21K19542
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
和田 聡 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30420102)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント / 糖鎖構造 / 個別化治療 / 翻訳後修飾 / がん免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害剤は、がん治療に強いインパクトを与えた。一方、単剤における治療効果はがんの種類により異なり、治療効果が得られるがん種(肺がん・胃がん等)と得られないがん種(大腸がん・膵臓がん等)が判明している。また治療効果が得られるがん種においても効果が得られる患者と得られない患者が存在する。申請者らはその原因の一つとして抗体医薬が認識できないPD-L1蛋白質の翻訳後修飾に着目した。翻訳後修飾で一番多いのが糖鎖修飾であり、PD-L1分子における糖鎖修飾の重要性が報告されているが、がんの種類によるPD-L1上の糖鎖の違いや特定糖鎖については報告はない。糖鎖は遺伝子による直接制御を受けない「翻訳後修飾」であるため、PCR法による増幅やリコンビナント作成が難しく研究開発が遅れている。本研究では、レクチンアレイ法を用いて腫瘍組織におけるPD-L1上の糖鎖修飾について網羅的解析を行い、主要な糖鎖修飾の相違を明らかにすることを最終目的とする。本研究成果より、PD-L1上の糖鎖修飾が明らかとなれば、意図的に糖鎖修飾を標的とした治療薬開発が期待される。 本研究では、各がん種の腫瘍組織を使用し、レーザーマイクロダイゼクション(LMD)法を用いて腫瘍細胞を分離して、腫瘍細胞に発現するPD-L1上の糖鎖修飾を高密度レクチンアレイ法にて解析する。まず患者腫瘍組織(肺がん・胃がん・大腸がん・膵臓がん)を準備し、LMD法にて各がん種の腫瘍細胞を分離した。次に、分離した腫瘍細胞を抗PD-L1抗体を用いて免疫沈降し、PD-L1分子を単離した。現在、単離したPD-L1分子を高密度レクチンアレイ法にて解析を行っている。またバックアップ解析として、腫瘍細胞株(肺がん:A549,胃がん:KATO-Ⅲ,大腸がん:SW480,膵臓がん:MIAPaCa-2)を使用した解析も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍組織から腫瘍細胞をレーザーマイクロダイゼクション法にて採取する段階において、PD-L1分子を免疫沈降にて単離しレクチンアレイ解析を行うのに十分な量を確保するのに苦労したが全体的には予定通り進んでいる。またバックアップ解析として、腫瘍細胞株(肺がん:A549,胃がん:KATO-Ⅲ,大腸がん:SW480,膵臓がん:MIAPaCa-2)を使用した解析も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
分離したPD-L1分子を高密度レクチンアレイ法にて解析を行い、PD-L1分子に発現の高い糖鎖を認識するレクチンを同定する。同定したレクチン及び抗PD-L1抗体を用いて腫瘍組織の免疫染色を行う。これまでの膵臓がん腫瘍組織検体を用いた予備的実験では、抗PD-L1抗体とレクチン(WFA)を用いた二重染色を行うことに成功している。 腫瘍細胞株(肺がん:A549,胃がん:KATO-Ⅲ,大腸がん:SW480,膵臓がん:MIAPaCa-2)を使用したPD-L1上のレクチンアレイ解析を行い、PD-L1分子に発現の高い糖鎖を認識するレクチンを同定する。。 PD-L1分子の糖鎖修飾による生物学的意義についての検討を行う。PD-L1分子の糖鎖修飾がPD-1との結合及び免疫チェックポイント阻害剤との結合にどのように関わるのか解析する。また、PD-L1分子の糖鎖修飾が異なる細胞株を用いて、PD-1分子との結合解析も行う。次に免疫チェックポイント阻害剤(アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ)及び免疫染色に用いられる抗体(22C3、28-8、SP142、SP263)を用いて細胞株との結合解析を行う。 特定した糖鎖を合成する遺伝子(糖転移酵素遺伝子)を強制発現させた細胞株を作製し、PD-1分子及び免疫チェックポイント阻害剤との結合を解析する。さらにT細胞との共培養による生物学的活性についても解析を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による物流の遅延等により資材の搬入が滞ったことから、一部の研究を次年度に移行したため。物流の遅延によるもであり、当初の研究計画の内容は変更せず、当該研究時期のみ次年度への変更とする。
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